生活困窮者の相談に乗り、生活保護の申請を手助け、住まいを紹介するNPO法人・生活支援機構ALL。「困っている人は誰でも、門を叩いてほしい」と代表理事の坂本慎治氏は語る。 ※本連載では書籍『大阪に来たらええやん!西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』(信長出版)より一部を抜粋・編集し、日本の悲惨な実態に迫っていく。
役所の怠慢「生活保護を申し込ませない」…途方に暮れる困窮者の実態 (※画像はイメージです/PIXTA)

生活保護は「受けなければならないもの」であるワケ

一家心中寸前だった家族も、生活保護によって救われます。

 

生活保護を受けるのは、何も恥ずかしいことではありません。

 

「生活支援機構ALL」に相談に訪れた人のうち、20〜50代の「働き盛り」の世代が全体の87%を占めています。つまり、今はバリバリ働いている人でも、誰もが突如、仕事を失う可能性があり、誰もが生活困窮者になる可能性があるということです。

 

「生活保護を受けるのが嫌で死ぬ」なんてことがあってはなりません。生活保護は、国が用意した、社会復帰のための最後のセーフティネットなのですから。

 

私はむしろ、すべての生活困窮者は「生活保護を受けなければいけない」と考えます。

 

生活が困窮し、食べるものや住む場所がなくなっているにもかかわらず「生活保護を受けたくない」と主張する人の中には、「国のお荷物になるのが嫌だ」と考えている人も少なからず存在します。

 

しかしその考え方は、「逆」です。

 

コロナ禍のせいで社会全体の収入が下がっている今こそ、生活保護をしっかり受け、安定的な収入を得て、そのお金を、食費や衣類、お店に使う。するとそのお店の収入が増えて、雇用が増やせたり、給料を上げられたりします。

 

国の税収は増えますし、国全体としては雇用も増えます。つまり、生活保護を受けることによって、自分と同じような境遇で苦しむ人たちを助けることにもつながるのです。

 

一方、生活に困窮しながらも生活保護を受けないと、何が起こるか。

 

社会にお金が回らなくなりますから、景気が回復するのが遅くなり、同じような境遇の人たちを増やすおそれがあるわけです。

 

生活困窮者が生活保護を受けることは、この国にとっても必要なことなのです。

 

そして、いずれ生活困窮者がその困窮から脱し、社会復帰できるようになったとき、また「納税者」というかたちで社会に貢献すればよい。

 

セーフティネットの間口を広げたい。これが私の思いです。

 

ぜひ、大阪に来て、私たちを訪ねてほしい。心の底からそう願います。

 

大阪に来て、私たちの窓口にたどり着きさえすれば、人生はなんとかなります。

 

「生活保護受給者が増えたら日本はおしまいだ」なんてことを言う人もいます。

 

生活保護というのは、日本の税金を日本人に使う制度です。国内のお金は減らずにすみます。国の中でお金を回しているのだから、日本経済はむしろ健全な方向に向かっていく。私はそう考えています。