「大阪府」と「大阪市」…二重行政のリアル
大阪では現在、「大阪府」と「大阪市」の二重行政状態が続いています。知事と市長、府庁と市役所がそれぞれに連携し合うことなく行政を運営し、市民がそのあおりを食っているのです。
私は2019年、「大阪居住支援ネットワーク協議会」を立ち上げました。「民間住宅を利用した住宅セーフティネット」をコンセプトに、住まいに悩む生活困窮者へ、賃貸住宅への入居をサポートする制度です。
立ち上げにあたり、国と府からお金が下りる制度があり、これを活用しました。そのお金は「立ち上げる法人のある自治体の役所と連携して、活動を盛り上げていくために使ってください」という趣旨で給付されています。
お金をいただき、「よしっ」と気合いを入れて、ある自治体の役所へ「よろしくお願いいたします」と挨拶にいきました。
しかし窓口の担当者は「なんですかそれは?」といった反応です。
知らないはずがありません。だって私たちは、国と府からお金をいただいているのですから。
私は「上の方につないでください」とお願いしました。ところが、奥から出てきた上司も「知らない」と答え、挙げ句の果てに「帰ってください」と言います。
これはおかしい。私はその場で、大阪府庁の居住支援課に電話し、「助成金をいただいたから、お礼とご挨拶にと役所まで来たのですが、誰もピンときていないようなんです」と伝えました。
大阪府庁のほうはすんなりと話が通り、「わかりました、私が話をしてみます」と言ってくれます。
そこで携帯電話を役所の担当者に渡し、「大阪府庁の担当者」と「役所の担当者」での会話が始まったのですが、どうもその会話も、私が直面したのと同様、まったく噛み合っていないようでした。
そこで登場したのが「大阪市」です。「大阪府」と「大阪市」と「ある役所」。それぞれに電話をつないでの、ややこしいやりとりが始まってしまいました。