本記事では、ファイナンシャルプランナーオフィスのLive to Relief(ライヴトゥリリーフ)株式会社代表取締役・笹村敏夫氏が、営業マンの多くが陥っている勘違いについて解説します。
「スーツさえ着ておけば大丈夫!」という営業マンの勘違い

<この連載の第1回記事はコチラから>

「営業のときはスーツ!」という常識の落とし穴?

・第一印象は30秒で決まり、3年は薄れない

 

営業マンの定番の「仕事着」といえば、スーツです。世の中にはさまざまな業種の営業マンがいますが、スーツ姿で働く人の割合はかなり高いと思います。

 

そんな印象もあってか、営業マンのなかには「とりあえずスーツさえ着ておけばいい」という感じで、いつも同じスーツを着ていたり、スーツにしわやほつれがあっても平気で営業に出たりする人がいます。

 

断言できますが、年収の高い営業マンで、何日も洗っていないようなよれよれのスーツを着ている人はいません。身だしなみに興味がないのは、売れない営業マンならではの大きな特徴といえます。

 

そもそもなぜ、営業マンの多くがスーツを着ているのか。それは、現代社会において最もフォーマルな格好の一つが、スーツ姿だからです。

 

本質からいうと、スーツを着るのは、あくまで相手に対し清潔できちんとした印象を与えるのが目的であり、ユニフォームとしてではありません。誰に対してもよりよい印象を与えることができるなら、極端な話、格好はなんでもよいのです。

 

一流の営業マンが最も大切にしているものの一つが、相手に対して与える第一印象です。そして第一印象には、身だしなみが深く関わっています。

 

人間が相手に抱く印象に関して、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」というものがあります。

 

メラビアンが研究したのは、「人から矛盾したメッセージが発せられると、相手はそれをどのように受け止めるのか」についてでした。例えば、口では「あなたが嫌い」と言っているのに顔では笑っているというような、相反する情報があった際、人はどこに重きを置いて印象を決めるのか、ということです。

 

実験の結果、矛盾した情報があった際に人が参考にする割合は、話の内容である言語情報が7%、話し方などの聴覚情報が38%、見た目や表情といった視覚情報が55%となりました。つまり、人が重視する要素の93%は、視覚的要素と聴覚的要素であり、話す内容の影響をほとんど受けないのです。

 

そして、印象の半分以上を占める視覚情報の、柱の一つとなるのが身だしなみです。それに加え、目線や表情、姿勢なども、視覚情報に含まれます。ちなみに聴覚情報は、声のトーンやイントネーション、言葉遣いなどです。

 

人間は、こうした情報を瞬時に確認し、わずか30秒ほどで第一印象を判断するといわれています。こうして瞬間的に固まる第一印象ですが、それが悪いほうにふれると、取り戻すのが大変です。

 

メラビアンによれば、第一印象が薄れるまでには、3年もの期間を要するそう。モノを売るには、絶望的といえる長さです。

 

一流の営業マンが第一印象を大切にするのも、そうした習性をよく理解しているからに他なりません。

 

 

笹村 敏夫

Live to Relief株式会社

代表取締役

 

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