知り合いだからこそ「値切らない」と心に決める
●正規料金がお付き合いのマナー
知り合いだからこそ、値切らないこと。筆者は、この2~3年、とくに意識しています。
たとえば知り合いが飲食店を開いたときや新しいサービスをつくったとき、筆者はマナーだと思って「プロパー(正規料金)で勘定してください」と伝えます。「知り合いだから安くするよ」「安くして」という気持ちはわかります。でも、それを一度やってしまうと、気づけば値切り合戦になってしまいます。
それは決してお互いにとってしあわせなことではありません。「お互い正規料金でやりましょう」ということは、人間関係のマナーだと思うのです。
リーダー、とくに経営者は、定価をよしとする意識を持っておかなければ、すぐ安ければいいという方向に流されてしまいます。「定価でお願いするなんてもったいない」と言う人もいますが、なるべくお金を使わずに安くモノを買って貯め込むからデフレから抜け出せないのです。
値下げしたしわ寄せが、ゆくゆくは自分たちや会社のメンバーたちに向かってしまうことを思えば、「値引き大歓迎!」とはならないでしょう。
●知り合いの特権を割引に持ち込まない
もちろん懐事情もありますから、筆者の場合は「知り合い」に絞っています。筆者は半分以上が知り合いから仕事を受けたりお願いしたりという環境に身を置いています。中途半端な価格で始めると、お互いに困ってしまうのです。ですから、最初から正規料金で進めるようにしています。
知り合いだからこそ、定価で提供し合う意識を持つ。
そのほうが、余計な気をつかう必要がない分、関係もよくなりますよ。
チームに感謝が伝わる「お金の使い方」もある
●大切な人にケチケチする姿を見せない
ここでは、リーダーとしてではなく、一個人、一ビジネスマンとしての話をします。早く生まれてきた身として、ぜひ若い人にお金を使ってほしいのです。
「若い人に奢ることでよく思われたい」という感情はいりません。それでは、自分がかわいがっている後輩にしか奢らなくなってしまうからです。そこは平等にするべきだと思います。
若い人にお金を使うという行為は、長期的に見れば確実に自分に返ってきます。どれだけ奢っても、余りあるリターンがあるということです。
ただ、ここで注意したいのは、奢るときには直接的な見返りを求めないこと。
たとえば「あの人はこの間奢ってあげたのにお礼を何も言わない」と不満を抱くくらいなら、奢らないほうがいいでしょう。小さい人間に感じてしまいます。お礼を言われないのが嫌ならば、もう会わなければいい話です。
●人にお金を使うスタンスが、先々の収入にも影響する
人にお金を使うかどうかが、ときにその人の先々の収入に影響することもあります。何かと奢ってくれていた上司はその後役員になって現在も経営陣として活躍している一方、コーヒー一杯さえ奢ってくれたことのない上司は、役員になることがないまま退職した、というケースを知人から聞いたことがあります。
もしかすると、奢る・奢らないというスタンスに、日ごろの仕事で責任をとる・とらないというあり方が表れているのかもしれません。
筆者も、現在在籍する会社のメンバーには絶対に自腹での支払いはさせません。給料が高いか安いかということではなく、かっこつけさせてほしいという気持ちがあるからです。とくにもったいないとも思いません。
感覚としては「マナー」に近いのかもしれません。
一方で、筆者は自分には徹底的にケチケチします。区のスポーツセンターでは、1回分得をするから回数券を買おうなどと考えています。ただ、大切な人やビジネスパートナーなどにケチケチする姿を見せるのが嫌なのです。
●大切な人の将来にお金を使うという感覚を持つ
筆者は、リーダー、とくに会社のトップは、可能な範囲でケチケチすべきだと思っています。もちろんあまりにも貧乏たらしくするのもよくないのですが…。
たとえばインフルエンザの予防接種や食事の費用は、飲み食いする回数を1回減らせば捻出できます。チームメンバーたちは、おそらくトップがリッチであることを求めているわけではありません。
「メンバーへの給料を多く払えばいいじゃないか」と言う人もいます。月給を1~2万円上げればいいのではないかと。でも、それは少し違います。給料では、会社の想い、リーダーの想いが伝わりにくのです。
お金の使い方には、人間性が表れます。
大切な人の将来にお金を使うという感覚が必要です。打算的な考えの人は、奢ることを投資のように見てしまうのでしょう。
でも、チームメイトにお金を使うことは投資ではありません。感謝であり、マナーです。これを続けられる人は、いつ、どんな時代でも生き残れる人になると思うのです。
都丸 哲弘
wedo合同会社 代表
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