元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、商品先物取引の特徴について解説します。
資産形成を「お米」で?…「商品先物取引」の仕組みと購入単位

<この連載の第1回記事はコチラから>

米の総取引金額は「1枚あたりの値段×売買枚数」

(1)値動きと損益

 

株式の場合、総取引金額は「1株あたりの値段×売買株数」で算出します。たとえば、日立製作所を1株あたり4002円で200株買う場合、4002円×200株=80万400円が総取引金額となります。

※商品先物取引で「お米」を売買する際の取引単位

 

商品先物取引の場合は、表示されている値段に1枚あたりの数量と枚数を乗じて総取引金額を算出します。たとえば、新潟コシを1俵あたり1万5400円で1枚(=25俵)買う場合、1万5400円×25俵×1枚=38万5000円が総取引金額となります。

 

商品先物取引では、この1枚あたりの数量を「倍率」と呼びます。新潟コシの場合、1枚あたりの数量が25俵なので、25倍です。倍率と呼値の単位を覚えておくと、損益を簡単に計算することができます。たとえば新潟コシの場合、呼値の単位が10円で倍率が25倍です。10円×25倍=250円つまり、値段がプラスマイナス10円動くと250円の損益が発生することになります。

※値段変動の刻み。お米の場合、10円単位で変動する

 

呼値の単位10円、1枚17俵の秋田こまちは、10円×17倍=170円

呼値の単位10円、1枚200俵の東京コメは、10円×200倍=2000円

 

この「10円の価格変動で○円の損益」は覚えておくと便利です。これに取引枚数を乗じれば、現在の損益概算(手数料等諸経費を除く)を把握できます。

 

(2)立会仕法

 

取引所で売買が行われることを「立会(たちあい)」といいます。大阪堂島商品取引所における立会は、原則として、午前9時から午後3時までの間、連続して行われます。ただし、土日祝日、年末1日間、年始3日間は立会がありません。

 

その年の最後の立会は12月30日、年明け最初の立会は1月4日です。それぞれ大納会(だいのうかい)、大発会(だいはっかい)と呼びます。また、大阪堂島商品取引所における立会仕法は「個別競争売買(以下、ザラバ)」です。

 

ザラバの立会は、基本的に証券取引所と同様の立会方法です。立会の開始・終了時刻のみを決め、この時間内であれば、いつでも売買を行うことができます。

 

ザラバでは、その時間内に出された注文について「価格優先の原則」「時間優先の原則」に従い、同一商品・限月の売り注文と買い注文を順次約定させていきます。「価格優先の原則」とは、買い注文の場合には、指値の高い注文が指値の安い注文より優先し、売り注文の場合には、指値の安い注文が指値の高い注文より優先する、というものです。

 

ちなみに、「指値」とは、値段を指定して注文を出すこと、または、その指定した値段のことです。「時間優先の原則」とは、同一の指値注文について、受付時間が早いほうの注文を優先する、というものです。

 

ザラバにおいて約定した価格は「始値、高値、安値、終値」のように表示されます[図表1]。ちなみに、[図表1]のような商品先物取引の約定価格一覧表のことを「相場表」と呼びます。

 

[図表1]相場表
[図表1]相場表

 

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