保険の「約款」で、保険金が出るケースを確認しておく
補足になりますが、医療保険について、ちょっと述べておきます。先日、こんな例を聞きました。67歳の独身女性の話です。その人は祖母も母親も従姉妹も乳ガンで亡くなっている家系で、自身も乳ガンのリスクをおそれていました。
そこで若いときから生命保険に加入し、ガン特約もつけていました。その人に最近、乳ガンが見つかったのです。
初期でしたので、すぐ手術して5日ほどの入院をへて、退院。彼女が入っている保険では、がんで手術をすれば100万円、入院は1日1万円が出るはずでした。さっそく保険金を請求しようとしたところ、ガンとは認められず手術費や入院費は出なかったというのです。
「こういうときのために若いときから、ずっと払ってきたのに、あの保険料はなんだったのでしょう」と、その方は怒っていました。なぜ、彼女の乳ガンは保険の対象ではなかったのか。
それはその人が結んだ保険契約の中身が、粘膜の上皮内(じょうひない)にできた「上皮内ガン」は保険の対象外となっていたからです。上皮からさらに浸潤していれば、保険金は出たのですが、彼女のガンはごく初期だったため、対象外となってしまいました。
今は「上皮内ガン」でも、ガンとして認めるのがスタンダードになっています。しかし、昔は保険の掛け金を安くする分、「上皮内ガン」を対象からはずすものもあったのです。
こうした細かい規定は、保険に入るとき、説明を受けているはずですし、約款(やっかん)にも書かれています。しかしおそらくその人は理解していなかったのではないでしょうか。こういう齟齬(そご)はよく起きます。
保険を扱う代理店の人間は必ず説明しているはずですが、お客さんによってはよく聞かない方もいます。やはり保険は契約ごとですので、両方に責任があります。「知らなかった」「聞いていなかった」ではすみません。自分も責任を持って約款を理解しておくのが、当然とみなされるのです。
横山 光昭
株式会社マイエフピー代表取締役
家計再生コンサルタント
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】