(※写真はイメージです/PIXTA)

万が一、病気になったときに助けてくれる医療保険。高い保険料を払っている人も多いでしょうが、本当にすべて必要でしょうか? 詳しく見ていきます。※本連載は、横山光昭氏の著書『長い老後のためのお金の基本』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

高額療養費制度を利用すれば、高い医療保険は必要なし

「高額療養費制度」を知っていれば、高い医療保険が必要ありません。そもそも老後になれば、医療保険も含めて、新しく保険に入る必要はほとんどありません。

 

保険には大きくわけて「医療保険」「死亡保険」「貯蓄性」の3種類があります。このうち「貯蓄性」はわざわざ保険で貯蓄しなくても、つみたてNISAやiDeCoなど、もっと有利なもので貯めていけばいいでしょう。

 

また「死亡保険」は若いときなら残された家族に必要ですが、老後であれば自分の葬式代くらいしか用途はありません。葬式を盛大にやりたいのなら別ですが、今はだいたい葬式を100万、200万くらいですませようとする人がほとんどでしょうから、改めて「死亡保険」に加入しなくても、貯金から当てれば十分でしょう。

 

「医療保険」は、「高額療養費制度」を利用すれば、それほど高いものに入る必要はありません。医療保険がなくても、貯金から十分まかなえるでしょう。

 

ただし、「高額療養費制度」はあとから医療費が戻るので、いったんは窓口で医療費を支払わなければなりません。貯蓄が心もとないという人は、あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受けると、一月の支払いが自己負担上限までですみます。加えて、医療保険に入っておいてもいいでしょう。

 

また、がんや心臓、脳疾患など、いわゆる特定疾患といわれる大きな病気にかかったときは、保険外の治療を希望する場合もあります。そういうときに備えてがん保険や三大疾病保険など特定疾患向けの医療保険には入っておいたほうがいいと思います。

 

なお、「持病があっても入れます」という「医療保険」は、リスクの高い人を集めているので、割高な保険です。通常なら5000円くらいの掛け金の内容を、8000円とか1万円取って販売していると思っていいでしょう。

 

毎月1万円を医療保険に払うのなら、それを貯金に回せば、1年で12万円貯まります。2年で24万円、5年で60万円になります。持病があると不安になってしまうのはわかりますが、割高な保険料を払うくらいならその分を貯金しておくほうが賢明かな、と筆者は思います。

 

では、保険料が安い共済系の「医療保険」はどうでしょうか。共済系の保険の特徴は若い人でも高齢者でも掛け金が一律という点です。総体的に見て、若い人には損で年を取っていれば得になる仕組みです。

 

しかしある程度の年齢になると、保障額が減らされてしまう点に注意してください。たとえばこくみん共済のシニア医療保障タイプでは、70歳を過ぎると入院費が1日1500円、手術をしても1円もお金が出ません。

 

10日入院しても1万5000円しか出ない保険に、毎月2500円の掛け金を払って入っているメリットがあるのか、という問題です。

 

いずれにしても、共済系の保険は、それだけでまかなおうとすると、保障が十分ではありません。補助的に入る分にはいいですが、メインになる保険ではないと思います。

 

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長い老後のためのお金の基本

長い老後のためのお金の基本

横山 光昭

筑摩書房

「年金は70歳まで出なくなる? 」「定年後、1人2000万円は必要」「老後破産」「下流老人」等々、老後の生活の不安をあおる情報が飛び交っている。どれがフェイクで、どれが現実なのか? 定年後のビジネスマンの標準的な家計…

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