元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より商品先物取引の特徴について一部編集・抜粋し、解説します。

10万円で408俵の米を売買できるメリットとデメリット

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〈例1〉

小売業者A社は、今後、米価が高くなるのではないか、と懸念している。そこで、秋田こまちを先物取引で2枚(204俵×2取引単位)、1万4000円で買った。

 

この時、必要な証拠金は1枚あたり5万円×2枚=10万円だった。その後、米価が上昇したため、1万5000円で転売した。

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この時、利益は、

 

(1万5000円-1万4000円)×204俵×2枚=40万8000円

 

仮に、米現物408俵を買って同様の利益を追求しようとする場合、

 

1万4000円×408俵=571万2000円

 

の資金が必要となります。一方、先物取引で秋田こまちを取引する場合、当初必要な資金である証拠金は1枚あたり5万円×2枚=10万円のみです。

 

米現物も米先物も、その価格は連動するためほぼ同様となります。そのため、どちらを利用して投資を行っても利益はほぼ同じです。従って、現物投資に比べると、先物取引のほうが資金効率は良いといえます。

 

しかし、相場というものは、常に利益になるとは限りません。では、予想に反して価格が下落し、損失となった場合はどうなるのでしょうか?

 

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〈例2〉

小売業者A社は、今後、米価が高くなるのではないか、と懸念している。そこで、秋田こまちを先物取引で2枚(204俵×2取引単位)、1万5000円で買った。

 

この時、必要な証拠金は1枚あたり5万円×2枚=10万円だった。ところが、予想に反して、米価が下落したため、損失を覚悟し1万4000円で転売した。

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〈例1〉と全く逆のパターンです。

 

損失は、(1万4000円-1万5000円)×204俵×2枚=▲40万8000円。ここで、最初に出した証拠金がいくらか思い出してください。そう、2枚の取引なので証拠金10万円です。

 

10万円-40万8000円=▲30万8000円

 

つまり、30万8000円の資金不足となってしまいます。当初必要な資金は10万円と少額であっても、動かしている資金は米408俵分、600万円前後の資金となります。

 

それに伴う損益が発生するため、証拠金に比して利益も大きくなる半面、損失も大きくなります。〈例2〉のように、当初資金を上回る損失となることもあるため注意が必要です。

 

 

三次 理加

ファイナンシャルプランナー

 

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お米の先物市場活用法

お米の先物市場活用法

三次 理加

株式会社時事通信出版局

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