1日数十万円かかる個室も…「入院料の差」はどこでつくのか?

高齢者になれば、治療のために入院しなくてはいけないこともあるでしょう。年を取るにつれて医療費はかさむもの。突然の出費も仕方のないことですが、病院は美容院などとは異なり、いくらかかるのかがわかりません。想像以上に大きな出費で慌てることのないように、入院料がどのように決まるのかについて見ていきましょう。

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入院基本料を決めるのは「看護師の数」

病院を訪れると、「当院は、患者7人に対して看護師を1人配置しています」といった表示がされています。医療機関では、看護基準などの表示が義務づけられているためです。

 

2006(平成18)年度の診療報酬改定から、それまでの看護師の常勤人数と患者による看護配置から、実質的な看護人員配置(看護師が常時配置されていると仮定したときの人数)となりました。具体的には、一般病床は患者7人に対して看護師1名(以下、看護7:1と表記)の病院から看護15:1の病院まで4段階のグレードになりました。

 

その後、2018(平成30)年度の診療報酬改定において入院料の名称などの再編があり、看護7:1と看護10:1は、急性期一般入院基本料として7段階に分けられ、看護13:1と看護15:1は、地域一般入院基本料として3段階に分けられました。これまでの4段階であった一般病棟の入院基本料は実質的に7段階となったのです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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看護師配置基準の「看護配置」とは、入院患者数に対する、その病棟の看護師の常時配置されている基準です。実際に急性期一般入院基本料(看護7:1)を常勤配置に換算すると患者1.4人に対して看護師1名の常勤が必要となります。

 

また、夜勤はこの実際に配置されている人数からローテーションを組みます。夜間の体制は、最低の基準として1病棟に2名の看護師が必要となります。近年では、看護師3名で夜勤をしている病院も多くなってきています。昼夜を問わず看護師の数が多いほうが医療の質が高くなることは間違いありません。

ICUやリハビリ、緩和ケア…「病床ごと」の入院料

病院には、さまざまな機能をもった病棟があります。その機能は、ハードウェアとソフトウェア、配置専門職数(医師数、看護師数)の違いによって区分けされています。ここでは、代表的な病棟の入院料について紹介します。

 

【①特定集中治療室管理料】

重症で医師が特定集中治療管理の必要があると認めた患者が入院する病床への入院料。別名ICU(Intensive Care Unit)という。入院料の中では高額なベッドで1日10万円を超えます。

 

【②新生児特定集中治療室管理料】

高度の先天性奇形や未熟児などの状態で新生児特定集中治療管理が必要である新生児が入院する病床への入院料です。

 

【③回復期リハビリテーション病棟入院料】

脳血管疾患や大腿骨頸部骨折等の患者に対して、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)能力の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的とした、リハビリテーションを中心とする病床への入院料です。

 

【④地域包括ケア病棟入院料】

高齢化社会を意識し、急性期後の患者や軽度急性期と呼ばれる肺炎や発熱、脱水などの患者を受け入れる病棟のための入院料です。

 

【⑤緩和ケア病棟入院料】

末期の悪性腫瘍や後天性免疫不全症候群の患者への緩和ケアを行う病床(「ホスピス」ともいう)への入院料です。

 

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1日数十万円の部屋も…!?「個室料」は病院次第

病院の個室料は、ブラックボックス的な感じを受けるものです。個室料が各病院により違うことがより不透明さを助長しています。ここで個室料とはどのような制度で、各病院はどのように詳細を定めているのを明らかにしましよう。


病院の個室料は、保険外併用療養費制度の選定療養費で特別の療養環境(差額ベッド)として定められています【図表】。

 

【図表】差額ベッド代のしくみ

 

選定療養費は、差額ベッド、初診時に紹介状を持参していない患者、予約診療、薬機法で承認されたが保険収載されていない医薬品の投与、入院期間が180日を超える入院に関する事項など、特別な費用の徴収を認めることを規定しています。

 

また、差額ベッド代を徴収する病院の病床数への制限は、私立病院で病床数の50%までとされています。

 

差額ベッドの施設基準は以下のとおりです。

 

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<差額ベッドの施設基準>

 

①病室の病床数が4床以下であること

②病室の面積が1人あたり6.4m²以上であること

③病床ごとのプライバシーの確保をはかるための設備を備えていること

④個人用の私物の収納設備、個人用の照明、小机等及び椅子を有していること

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また医療機関が下記の場合には、料金をもらえないことになっています。

 

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1. 患者さん側から同意書による同意の確認を行っていない場合

 

2. 患者さん本人の「治療上の必要」により差額ベッド室に入院した場合

 

3. 病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合

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昨今、「全床個室」という病院が全国に出現しています。全床個室でも病床数の最大5割までしか個室料はもらえません。

 

日本で一番高額な個室は、ホテルのロイヤルスイートを超えるようなグレードの個室で、1日の個室料が数十万円もかかる病室もあります。

 

個室料は、結局のところ病院個々によって自由に決められるものです。病院の経営方針の違いが、個室料の差でもあります。

今後は、「診療の結果」が病院経営を左右する時代

患者は医療機関を受診するのは、治ることが前提となっていると思います。一方で、医療機関は、患者の治療については不確実性が高いため完治を確約できません。仮に同じ疾患の患者を治療したとしても、それぞれの治療結果に違いが出ます。診療報酬は、これまで医療従事者の人員配置や医療提供プロセスに関する評価で点数が決まってきました。

 

この人材配置などの構造と医療提供のプロセスに対する評価から、診療の結果などのアウトカムが点数へ反映されるようになってきました。

 

代表的なものが回復期リハビリテーション病棟入院料で、2016(平成28)年度からアウトカム評価として実績指数が導入されました。実績指数は、高くなれば高くなるほど、病棟の患者は入院したときよりも運動機能が高くなって退院していったことになります。

 

 

木村 憲洋

高崎健康福祉大学 健康福祉学部 医療情報学科 准教授

 

 

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高崎健康福祉大学 健康福祉学部医療情報学科 准教授

1971年栃木県足利市生まれ。

1994年武蔵工業大学工学部機械工学科卒業後、民間病院を経て、現在、高崎健康福祉大学・健康福祉学部医療情報学科准教授。

【主な著書】
『病院のしくみ』『医療費のしくみ』『薬局のしくみ』『看護のしくみ』
(すべて日本実業出版社刊、共著)
『病院経営のしくみ』(日本医療企画刊、共著)

著者紹介

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マンガでやさしくわかる病院と医療のしくみ

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著:木村 憲洋
シナリオ制作:ユニバーサル・パブリシング
作画:山中 孝二

日本能率協会マネジメントセンター

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