アンケート調査にみる「特別養子縁組」の実情
このような制度を利用して新たに誕生した親子の関係。実際のところ、どうなのでしょうか。少々古い調査になりますが、日本財団が2016年に行った『養子縁組家庭に関するアンケート調査』(回答者の98.2%が特別養子縁組)の結果を見ていきましょう。
まず子どもを迎えた年齢は、「0歳」が最も多く、38.4%。「1歳」26.2%、「2歳」12.8%と続きます。平均値は1.49歳です。子どもが以前暮らしたことのある場所は、「乳児院」が圧倒的に多く94.5%。「児童養護施設」18.2%、「産みの親」6.1%と続きます。
また真実を告知している家庭は80.1%で、多くの家庭で15歳までに真実告知を受けています。
養親になる家庭の税込み世帯所得は「600万~800万円」が最も多く、平均値は727万円。親の最終学歴は「大学・大学院」が最も多く53.3%。母親は専業主婦のケースが70.1%と高く、養子縁組家庭は一般家庭よりも経済状況は良好だと言えます。
子どもたちの心身について見ていきましょう。子どもに「心身に障がい等がある(医師の診断を受けている)」としたのが14.3%。児童養護施設児や里親委託児に比べると若干低いものの、未成年の総人口に占める割合から見ると高い傾向にあります。原因として出生前の母体の状況、実家庭や施設で養育された期間が影響しているのではないかとしています。
一方で養子縁組家庭の教育支出は月2.08万円と、全国平均より2倍程度高く、また夕食を家族とともにする回数や、絵本の読み聞かせをしていた割合なども全国平均よりも高いという結果に。養子縁組家庭は子どもへの関りも深いと言えるでしょう。また養子縁組の子どもは自己肯定感が高いという結果もあり、新しい親と出会えたことがプラスになっていると言えそうです。
このように特別養子縁組の制度によって、幸せを手にする子どもたちがいます。一方で忘れてならないのが、この制度は子どもの福祉の増進を図るためのものであり、養親のための制度ではないということ。「子どもが授からないから」と養子を迎え上手くいかなかったケースや、子どもが欲しいという夫婦につけこんだ詐欺事件なども起きています。
せっかくの制度で不幸が生じないよう、子どもと養親を希望する夫婦とのマッチングは重要です。特別養子縁組の仲介は、行政機関である児童相談所のほか、民間のあっせん機関で行っています。
厚生労働省『令和元年度養子縁組民間あっせん機関実態調査』によると、児童の父母等からの申し込みは216件、養親希望者からの申込みは563件。都道府県別に見ていくと、児童父母からの申し込みが最も多いが「埼玉県」と「東京都」。「大阪府」「神奈川県」「千葉県」と続きます。養親希望者からの申し込みが最も多いのは「東京都」。「大阪府」「兵庫県」「埼玉県」「愛知県」と続きます(関連記事『都道府県「特別養子縁組申込み件数」調査』)。
民間のあっせん機関のなかには認証NPO法人も多く、その活動財源は「寄付」が多く占めます。内閣府によると、2021年3月末現在、認証NPO法人は5万905件あり、これらの団体に寄付を行った場合、税制優遇を受けることができます。
子どもと親を繋ぎ、幸せな未来をつくることに関心が高いのであれば、「寄付」という行動でサポートすることができます。
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