「ビジネスを立ち上げるのが夢です!」の落とし穴
■あなたの願望はハリボテではありませんか?
「日本の女性を元気にするビジネスを立ち上げるのが夢です。相談にのってください!」と意気揚々と話す女性から相談を受けたことがあります。
「すてきなビジネスモデルですね。ちなみにそれなら半年あれば十分に実現できますが、それを実現した先にあなたは何をしたいのですか?」と尋ねてみました。
すると「そうなんですか? すごい! その後どうしよう? そうしたら将来はハワイで悠々自適な暮らしがしたいです」という答えが返ってきました。私はすかさず、「それなら、なぜ最初からハワイでやらないのですか? 日本でやらなければならない理由があるのですか?」と返したところ、少し黙り込んでしまいました。
この方の真の願望は「ハワイでの悠々自適な生活」であって、「女性を元気にするビジネスでの起業」は真の願望ではなくハリボテだったということが分かりました。
ここで私たちの思考パターンの大きな問題点を認識しておきましょう。世の中の99%の人はこれまでの経験やキャリアから自分のできそうなことを「願望」に設定してしまいがちです。
これを「積み上げ思考」といいます。今までやってきたこと、できそうなことの先にゴール設定をする思考パターンです。これでは成功に至りません。まずは、これまでの経験や経済状況、思い込み、才能などを全部取り払って、素直な気持ちで「本当はどうなりたいのか?」を考えてみてください。
これを実現するためにとっていく行動が「逆算思考」の成功パターンです。[図表3]をご覧ください。これは私がクライアントと会話をするときに、必ず頭に描く構図です。
この人の現在地はどこだろう? 理想はどうなりたいのだろう? なぜそれを達成したいのだろう? 真の課題はなんだろう? どんな目標(課題解決)が効果的だろう?
……仮にあなたの月収が今、20万円だったとしましょう。
「そのやり方で月収500万円を稼ぎ出す方法はありますか?」と聞かれたら、あなたは「どうしたらいいんだろう?」と頭を抱えこむでしょう。
そもそも、月収20万円と500万円の稼ぎ方は根本的に違うのです。あなたはジーパンとTシャツ、サンダルで富士山に登ろうとはしませんよね? それと一緒で、登りたい山によってそもそも道具も計画もまったく違います。
それを軽装で富士山に臨もうとしたり、理想は富士山だけど、まずは手前の山から登ろうとするから途方もなく思えてしまうのです。月収500万円の稼ぎ方、富士山の登り方、まずはそういった理想の未来をとらえましょう。それを叶えるための行動をすることで理想が実現します。
さて、「現在地」と「理想の未来」を描けましたでしょうか?
私は起業相談を受ける際、いつもこの二つをまずお聞きします。初めに現在地を把握するのがとても重要です。例えば、目の前の方がお金がないと言ったとしましょう。それが、多くの借金を抱えているレベルなのか? 貯金はあまりないと言っているのか? はたまた貯金は3000万円あるけど、お金がないと言っているのか? 最初に認識合わせをしないと会話の根底が崩れてしまいます。