積立投資とは、ある金融商品を定期的に一定金額コツコツ長期にわたって投資する方法です。今回は、上地教授と中村さんの会話から、積立投資を始めるタイミングについて考えていきます。※本連載は、上地明徳氏の著書『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「積立投資」でも損をする2つのケース
──長期の積立投資だったら絶対に損するってことはないんですか?
もちろん、そんなことはありません。損することもありますよ。
──損するとしたら、どんなケースですか?
はい。では次に[図表1]のチャートをご覧ください。
たとえば、この2つのケースですね。左のチャートで言うと、長期的に下落相場が続く市場。日本の株式市場の1990年から2012年までの22年間のような状況がそうです。2012年秋からのアベノミクス相場で日本株は大きく戻したので現在では大きな利益が生まれていますが、さすがに22年間報われないのはしんどいですよね。
──22年は長いし、その間報われないなんてしんどすぎます。
もう一つの右のケースは、5年の上昇相場の後に5年の下落相場が続くようなケースです。これはどんな時に起こるかというと、やはり分散投資を怠り、1つの市場に集中させるとたまに起こり得る話です。
たとえば、ブラジルはオリンピック開催が決まってから経済は好調で、中国によるブラジル資源爆買いの恩恵も大きく受けました。ところがオリンピックが終わり、中国経済も成長が鈍ってくるとこれまで続いた株式市場の上昇が下落へと反転していきました。
つまり、積立投資とはいえ国際分散投資が必要なんです。
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信州大学経営大学院
特任教授
1958年東京生まれ。オンライン金融ビジネススクール「上地ゼミ」主催者、一般向けには同じくオンラインで学べる「アール宅配便」を通じて長期国際分散投資の啓蒙活動を行う。
また、信州大学経営大学院特任教授としてファイナンス科目を担当。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了、米国モルガン・スタンレー証券にトレーダーとして入社。1998年、日本初の投資信託専門証券会社の設立に参画、同社にて専務取締役。その後、米国大手資産運用会社にてアドバイザーを歴任。著書・論文多数。
2014年、大阪銀行協会より論文『銀行の投資信託販売と投資家の行動バイアス』で優秀賞を受賞。2016年、『年金民営化の経済分析』で特別賞受賞
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