年率3.59%の「日本の公的年金」は、なぜ世界より劣るのか?

日本の公的年金の平均運用利回りは3.59%とされており、世界の半分以下です。基本的な運用方法が同じにもかかわらず、なぜ差が生じるのでしょうか? 今回は、私たちが将来もらえる年金額に影響を与えかねないこの理由を、上地教授と中村さんの会話から探っていきます。※本連載は、上地明徳氏の著書『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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世界の年金基金が「市場予測」をしていないワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今ふと思い出したんですが、以前に中村さんは「(誰でも資産を2倍以上にすることができる)そんなうまい話があるんだったら、もうとっくにみんな始めているはず」と言っていましたよね。

 

──はい、たしかに言ったような気がします。「長期・分散・積立」投資を実践している人は、日本人の間ではまだまだ少数派ですけれど、世界ではとっくに始めている人たちがたくさんいます。それでは、こうした運用をしている長期の投資家たちをご紹介していきましょう。

 

まずは、世界それぞれの国々で国民の年金を運用しているプロの機関投資家(年金基金)たちです。世界の年金基金は、経済や市場の予測をせずに、長期国際分散投資を行っているのをご存知でしょうか?

 

──それは、相場予測をしても外れる可能性が高いからですか?

 

もちろん、そうした理由もありますが、それ以上に、相場予測をする必要がないと言ったほう正しいです。

 

──相場予測をする必要がない……。ふむ。

 

「長期・分散・積立」投資は、市場の予想も経済知識も必要ないとお話ししましたよね。実は、資産運用のプロである世界中の公的年金の運用機関で採用されている投資手法なんです。

 

──上地さんが一般の人向けだという投資手法が、世界の公的年金で採用されている投資手法なんですか?

 

はい、そうです。公的年金だけでなく、欧米の大学の基金や、ノーベル賞の賞金を捻出するノーベル財団も、同じように「長期・分散・積立」投資で運用しているんですよ。

 

──日本の公的年金も、そうなんですか?

 

もちろんです。世界の年金基金が市場予測を行わない理由は、予測は当たらないからという理由のほかに、彼らの目的(ゴール)が長期で資金を増やすことだからです。年金ですからね。1年後、2年後ではなく、10年後、20年後の資産最大化を目標に設定しているわけです。

 

1年で何が何でも資金を増やしたいなら、予測という「賭け」が必要ですが、10年後のお金を増やすには「賭け」は不要です。「10年後、おそらく世界経済は今よりも成長しているだろう」くらいの感覚で運用しています。

 

──ざっくりした感覚ですね。

 

資産運用は、目的(ゴール)が決まると、それに応じた最適戦略と最適商品が決まります。世界の公的年金ポートフォリオ(=保有資産の組み合わせ)の事例を紹介しましょう。どの国でも基金の半分以上を株式資産に投資していることがわかります([図表1])。

 

[図表1]世界の公的年金のポートフォリオ

 

──本当ですね! あれ、でも日本だけほかの国と少し違う気がします。日本の厚生年金は、日本株と世界株式で50%、日本債券と海外債券で50%とちょうど半々になっていますね。この比率は、上地さん的にはどうなんですか?

 

大学の成績で評価すると「C」という感じですね。不合格ではないけれど、最低の成績という位置づけです。

 

──あらら。結構悪いんですね。けど、どうして成績が「C」評価なんですか?

 

運用成績ですよ。長期の年率平均リターンが3%程度というのは、世界標準からするとお粗末な成績と言わざるを得ません。世界標準の7%で初めて成績「A」をつけられます。

 

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信州大学経営大学院 特任教授

1958年東京生まれ。オンライン金融ビジネススクール「上地ゼミ」主催者、一般向けには同じくオンラインで学べる「アール宅配便」を通じて長期国際分散投資の啓蒙活動を行う。

また、信州大学経営大学院特任教授としてファイナンス科目を担当。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了、米国モルガン・スタンレー証券にトレーダーとして入社。1998年、日本初の投資信託専門証券会社の設立に参画、同社にて専務取締役。その後、米国大手資産運用会社にてアドバイザーを歴任。著書・論文多数。

2014年、大阪銀行協会より論文『銀行の投資信託販売と投資家の行動バイアス』で優秀賞を受賞。2016年、『年金民営化の経済分析』で特別賞受賞

著者紹介

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