金融機関が破綻しても預けていた資産が守られる仕組み
投資信託には3つの金融機関が関わっています。1つが、私たちが投資信託を購入する窓口である「販売会社」。証券会社や銀行、ゆうちょ銀行などがそれに当たります。販売会社に支払われたお金は、2つめの「管理会社」に預けられます。信託銀行がその役目を果たしています。そして、3つめが、実際の運用の指示を出す「運用会社」です。
──なるほど。たくさんの金融機関が関わっているんですね。
仮に私たちのお金が「運用会社」にあって運用会社が倒産した場合、それこそ本当に投資金額もドボンしちゃう可能性があります。しかし、資金の管理は「信託銀行」が請け負っているので、運用会社が倒産しても大丈夫なんです。
──それでも「信託銀行」が破綻することもあり得ますよね?
「信託銀行」には信託法という法律が適用されます。簡単に説明すると、信託銀行のお金と中村さんの投資信託のお金は別の勘定で管理がなされているということ(分別管理義務)、もう一つは、投資信託のお金(信託財産)については、仮に信託銀行が破たんしても債権者が信託財産を強制執行(差し押さえ)することができないということです(信託財産の強制執行の禁止)。
──ということは、3つの金融機関のどこがツブれても、私たちの資産は守られるという理解でいいのですか?
そうです。中村さんが気にかけるべきは、投資信託は毎日その価格が公表されていますが、その価格が現在いくらになっているかだけでいいのです。
結論から言ってしまえば、投資信託の価格が1万円の時に100万円投資した場合、その投資先の株式市場が値上がりすれば1万円が1万2000円、1万3000円と上昇していきます。逆に投資先の市場が下落すると9000円、8000円と値下がりしていきます。
そこで、仮に1万2000円の時に運用会社、信託銀行、購入した証券会社のすべてが倒産しても120万円は戻ってくるんですよ。
──そうなんですか。安心ですね。
もちろん、投資信託の価格が8000円の時にすべての関係会社が破たんすると、中村さんに戻ってくるお金は100万円ではなく80万円になります。つまり、投資信託は預金のように元本保証はされなくて、その時の投資信託の価格(時価)で満額保証されるということです。
──それでしたら、投資信託の価格が0円になってしまうことはないのですか。そうなったら、さすがに私の投資資金もパーということですよね。
はい、その通りですが、投資信託の価格が0円になるということは、投資した企業がすべて倒産することを意味します。外国株式インデックスであれば、先進国の上場企業がすべて倒産することなんです。あり得ると思いますか?
──それは現実的ではないような気がします。さらに安心度が増しました!
上地 明徳
信州大学経営大学院 特任教授
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