リモートワークの普及で、ビジネスマナーも変化しています。リアルで行うやりとりとは異なるポイントも少なくありません。新入社員が身につけるべきビジネスマナーを、元・全日本空輸株式会社客室乗務員のプロフェッショナルマナー講師、岩崎智子氏が解説します。※本記事は、『ひと目で要点理解 最新版ビジネスマナー解体新書』(ナツメ社)より抜粋・再編集したものです。

 リモートワーク中も、社内外の連絡は「就業時間内」に

リモートワークとは、会社に出社せず、自宅やワーキングスペースなどで働くこと。最近は導入している会社も増えています。


通勤の必要がない、環境が整った場所ならどこでも好きな場所で働けるなどのメリットがある一方、仕事のオン・オフがつけにくいというデメリットも。


仕事環境は変わっても業務内容は変わりません。リモートであっても、上司をはじめ仕事関係者とはこまめに連絡を取り、しっかりと自分でスケジュールを管理しながら仕事を進めていくことが大切です。

 

 ●リモートワークのメリット

 ★通勤する必要がない。
 ★家やワーキングスペースなど、好きな場所で働ける。
 ★一人で集中して仕事ができる。
 ★工夫次第で、仕事の生産性を上げられる。
 ★楽な服装で仕事ができる。

●リモートワークのデメリット

 ★仕事のスイッチが入りにくい。
 ★しっかり自己管理ができないと、仕事が終わらない。
 ★会話がないので、孤独に感じる。
 ★ちょっと聞きたいことが、聞きにくい。
 ★情報漏えいのリスクがある。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

 ●リモートワークのポイント 

 

1. 自分に合った生活のルーティンを決める

 

仕事を効率よく進めるためには、時間をしっかり自己管理することが必要です。起床時間、業務開始時間、休憩時間、終業時間を決め、毎日のルーティンとすると、仕事のオンオフがつきやすくなり、集中して仕事ができます。

 

会社によっては、始業時間にリモートでの朝礼を行い、一斉に業務開始するところもありますが、それがなくても基本的には会社の就業時間に合わせて、終業時間までに予定していた仕事を終わらせるようにしましょう。

 

2. 社内外の人への連絡は、就業時間内に

 

上司や取引先の人への電話やメール連絡は、できるだけ会社の就業時間内に行うようにします。相手も自分と同じルーティンでリモートワークをしているわけではありません。早朝や夜遅い連絡は相手に迷惑です。例えば、朝の8時からリモートワークをしていても、8時には連絡せず、始業の9時になってから連絡をするようにしましょう。

 

3. 積極的にコミュニケーションをとる


リモートワークは、一人で黙々と業務を遂行するため、どうしてもコミュニケーション不足になりがちです。仕事をスムーズに進めるために、コミュニケーションは欠かせません。

 

会社で業務を行っているとき以上に、上司への報告・連絡・相談をこまめに行いましょう。また、仕事関係者とも、積極的にメールや電話などで連絡を取り合い、情報の共有をすることが大切です。

 

※会社内で、リモートワークのルールがあれば、それに従います。

 

 ●リモートワーク中の電話とメールの注意点 

 

★電話

 

家族がいる場合、電話をかけるとき、受けるときは、できれば家の中でも静かな場所に移動して話をします。大半は、自分のスマホを使用すると思いますが、前もって電波状況も確認しておくと、途中で切れて相手に迷惑をかけることがありません。

 

なお、電話中に宅配便の人などが来た場合は、「申し訳ございません。こちらから、すぐに折り返してもよろしいでしょうか」と伝え、電話をきるとよいでしょう。

 

★メール

 

リモートワーク中、自分のパソコンを利用している際も、メールの署名は、会社のものと揃え、会社名、会社の連絡先、所属名、氏名があるものにしましょう。基本的に、電話連絡は会社を通してとなります。

 

ただし、署名の上または下に「リモートワーク中です。連絡は、090-〇〇〇-〇〇〇〇にお願いいたします」と、会社から支給されているスマホの番号や、教えてもよければ自分のスマホの番号を入れてもよいでしょう。

 

 ●リモート中のコミュニケーション 


相手を思いやる気持ちを表すのがマナーです。それは、リモートワークであっても変わりません。相手に配慮した言動を心がけ、信頼関係を築いていきましょう。

 

★あいさつと言葉づかいは大切

 

リモートワークでは、メール、電話、Zoomなどのweb会議ツールを使ってのコミュニケーションが基本。どのツールを使うにしても、はじめに明るくあいさつをすることで、相手は好感を持ってくれます。会議ツールの画面でやりとりするときは、表情も大切。口角を上げ、相手に笑顔であいさつをします。

 

また、言葉づかいひとつで、印象はよくも悪くもなります。正しい敬語を使うのはもちろん、本題に入る前に「申し訳ありませんが」など、やわらかい表現になるクッション言葉を使うと、角が立ちません。

 

★社内の人へのメールには世間話を入れても

 

リモートワーク中の連絡は、メールが中心となります。メールは、①あいさつ、②名乗り、③本文(本題)、④結びの構成を基本に、言葉づかいに注意して送ります。しかし、社内この人への連絡メールには、ときとして本題の最後に追伸で「先日、先輩に紹介いただいたお店に行って、おすすめのスイーツを食べてきました。とてもおいしかったです」などの世間話を入れると、会っていなくても、良好な人間関係が築きやすくなります。

 リモートワーク「こんなときどうする?」Q&A

 ●リモートだと、上司に質問や相談がしにくい 

 

 Q 

会社で一緒に働いていれば、上司や先輩にちょっとしたことでも間きやすいですが、リモートだと緊張します。また、「こんなことを聞いていいのかな」と、躊躇してしまいます。

 

 A 

会社の部や課でLINEのグループラインがあれば、それを利用すると聞きやすいかもしれません。前もって、「わからないことがあったら、グループラインで聞いてもよろしいでしょうか」と、確認しておくとよいでしょう。

 

それがなければ、1日の業務報告書をメールするときに疑問点を書く、朝のweb会議ツールを使ったあいさつの後、「申し訳ありませんが、少しお話ししてよろしいでしょうか」と言って聞くのも一つです。

 

新人であれば、わからないことが多いのは当然のこと。わからないまま自分で判断して進めるほうが、のちのち問題になります。小さなことでも疑問点があれば、遠慮せずに上司や先輩に聞くようにしましょう。

 

 ●仕事の効率が上がらない 

 

 Q 

自宅で仕事をしていると、仕事のスイッチが入りません。さぼっているわけではありませんが、効率が悪く仕事が終わらず、遅い時間まで作業することになってしまいます。


 A 

リモートワークの場合、仕事をする場所や時間もある程度、自由がききますが、それによって仕事のスイッチが入りにくくなることも。結果、時間内に仕事が終わらないという事態を招きかねません。

 

まず仕事がしやすい環境をつくることが大切です。整理整頓をして、仕事スペースをしっかり確保します。また、リモートなので服装はカジュアルでかまいませんが、スーツでなくても少し改まった服装にすると、仕事モードになりやすいかもしれません。

 

さらに、時間はスマホではなく、時計を見るようにします。スマホで電話連絡していたり、パソコンで作業をしていたりすると、すぐに時間を確認できなかったりします。パッと目にとまる場所に時計を置くと、時間管理がしやすくなります。「〇時までにこの作業を終わらせる」と、目標を持つとやる気も出ます。

 

 知っ得ポイント 

 

●仕事のオン・オフの切り替えをすることが、効率アップにつながる。

●コミュニケーション不足にならないよう、上司や仕事関係者とは、こまめに連絡を取り合う。

 

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