相続の際、相続人が最も頭を悩ませるのが土地への課税額です。土地の種類によって評価方法が異なるほか、土地の形状や状態に応じてさまざまな補正をかけて税額を下げることができます。本記事では、その代表的なものと具体的な補正割合について解説します。

いびつな土地、斜面の土地、広い土地などの評価は?

「財産評価基本通達」では、土地の形状や状態に応じてさまざまな補正を行うことになっています。

 

●利用価値が著しく低下している場合、最大50%減額も

 

「路線価方式」による実際の土地の評価では、「相続税路線価」をベースにしながら、その土地の形状や状態に応じて、さまざまな補正を行います。

 

「財産評価基本通達」で定めている代表的なケースを挙げておきます。

 

<奥行きが長かったり短かったりする土地>

奥行きが長かったり短かったりする土地は使い勝手が悪く、土地区分と奥行きの長さに応じて「奥行価格補正率」が適用され、評価額が下がります。

 

[図表2]奥行価格補正率の例(一部)

 

<間口が狭い土地>

地区区分と間口の距離に応じて「間口狭小補正率」が適用され、評価額が下がります。

 

[図表3]間口狭小補正率の例(一部)

 

<間口と奥行きのバランスが悪い土地>

「奥行価格補正率」や「間口狭小補正率」と合わせて「奥行長大補正率」が適用されます。場合によっては3つを合わせて適用されることもあります。

 

[図表4]奥行長大補正率の例(一部)

 

<不整形地>

整った四角形ではない形状の土地を「不整形地」と呼び、利用しにくいので評価額が下がります。具体的には、その土地がきれいな長方形または正方形の土地(整形地)であるとした想定図を描き、その想定整形地と比較して生じる「かげ地」部分の面積の割合を算出します。かげ地の割合が大きいほど減額率(不整形地補正率)が高くなります。

 

[図表5]不整形地補正率の例(一部)
 

<がけ地>

一部が斜面になっている土地を「がけ地」と呼び、「がけ地補正率」が適用され、評価額が下がります。対象となるのは、土地全体の面積に対してがけ地の割合が10%以上の場合で、がけ地の方位がどちらにあるかによっても補正率は変わります。

 

[図表6]がけ地補正率
 

 

<地積規模の大きな土地>

以前は「広大地」と呼ばれていたものが2018年(平成30年)1月1日以降の相続より「地積規模の大きな宅地」となりました。対象となるのは基本的に、三大都市圏では500㎡以上、それ以外では1000㎡以上の広さの土地です。こうした土地を活用しようとすると、戸建て住宅の団地として開発されることが多く、その場合、引き込み道路や公園などを設置しなければならず、有効に活用できる面積が削られます。そこで、一定の方法で評価額を軽減することになっています。

 

[図表7]路線価地域にある「地積規模の大きな宅地の評価」

 

<その他、利用価値が著しく下がる土地>

ほかにも、高圧線の下にある土地、線路や工場が近くにあって騒音がひどい土地、崖や高い建物の陰になって日当たりが悪い土地、土壌汚染がある土地、地下鉄などの上にある土地、埋蔵文化財がある土地などは、本来の評価額より10%~50%減額されることがあります。

 

 

税理士法人チェスター

 

 

知らないと損、分かれば安心 相続税の申告80のギモン

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