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バイオ医薬品関連企業の株価動向
2月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。2月のバイオ医薬品市場は堅調なスタートを切ったもののその後は上昇の勢いを失い、月間では下落しました。新型コロナウイルスのワクチン接種は米国では順調に進んだものの、欧州では遅れも見られました。高水準の集団免疫が達成できるかどうかは、バイオ医薬品を供給している企業にとって特に重要です。この一年、患者の医療機関受診、そして医薬品の処方件数が落ち込んでいるためです。
株価が大きく上昇した銘柄としてはカルビスタ・ファーマシューティカルズ(米国)やケモセントリクス(米国)が挙げられます。カルビスタ・ファーマシューティカルズは、コロナ禍で遅れが生じていた希少疾病である遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬候補の治験について良好な結果を発表しました。ケモセントリクスは、世界で最も権威ある医学誌の一つとされる「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎治療薬候補のフェーズ3治験結果を発表し、極めて好意的なコメントを得ました。
株価が大きく下落した銘柄としてはグローバル・ブラッド・セラピューティクス(米国)が挙げられます。同社はコロナ禍で新薬の立ち上げが遅れていることが嫌気されました。ただし同社の企業業績について長期的な成長が見込まれるとの見方に変化はありません。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染動向とワクチンの動向に注目が集まっています。一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は引き続き新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を急ピッチで行っています。ワクチンの良好な治験結果や各国政府によるワクチン接種はすすめられており、現在は生産能力などのボトルネックに注目が集まっています。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発・認可・接種への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年2月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2021年3月24日)
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