フジテレビ系ドラマ『コード・ブルー』でも話題になったドクターヘリ。コロナ禍で航空需要が落ち込むなか、密かに投資対象としての注目が集まっていることをご存じでしょうか。本記事では、アエル・リーシング株式会社代表取締役の南康一氏が、ドクターヘリの概要を解説します。

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コロナ禍で注目集める「ドクターヘリ投資」

筆者は、幼少期から学生のころまでは高熱によりひきつけを起こす体質だったのですが、意識を失ったあと、錯乱状態で目覚めることが度々ありました。

 

救急車で運ばれたことも何度かありました。幼かったためか、強い不安で押しつぶされそうになったとき、救急車・救急隊員・医師の存在がありがたいものであったことを今でもよく覚えています。

 

現在、筆者はヘリコプターを含む小型航空機に関連する仕事をしていますが、上記の経験から救急医療向けの航空機、なかでもドクターヘリに対しては惹かれるものがあります。

 

実は「ドクターヘリ」は、コロナ禍が影響して投資家からの注目を集めています。

 

最近では、三井住友ファイナンス&リース株式会社がヘリコプターへの投資を決めました。航空需要が落ち込むなかでも、ヘリコプターは救急医療向けなどの需要が底堅いと判断したとのことです。

 

そこで本記事では、業界的にも注目高まるドクターヘリについて解説していきます。

1.ドクターヘリの概要と効果…格差を是正

ドクターヘリとは、医療機器を装備したヘリコプターです。医師と看護師が同乗して、現場に向かい、病院まで救命医療を行います。一般的な救急車と大きく異なるのは、医師が搭乗することで初期治療を傷病者とコンタクト直後に開始できる点です。ほかにも以下のような特徴があります。

 

救命以外の効果

 

認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク HEM-Net」の発表によると、ドクターヘリは、渋滞に関係なく時速200キロの速さで飛ぶので、現場への到着時間が救急車と比べると非常に短いです。

 

この時間短縮によって、現場での治療を早く始めることができます。救急ヘリ病院ネットワークの過去の調査では、救急車での入院と比べ入院期間が平均10日以上短くなったという報告もありました。また、離島や山奥にも救急車よりはるかに短い時間で飛んでいくことで、地域間の医療格差を解消することにもつながっています。

 

 

国の特徴が表れる運航開始の背景

 

ドクターヘリが日本で開始されたきっかけは阪神淡路大震災です。陸の孤島と化した被災地で、医療インフラが破綻し、瓦礫で救急車が入り込めず、救える命が救えなかった反省から導入検討が始まり、反対を乗り越えて先進国では最も遅い2001年に開始されました。

 

海外ではドクターヘリ運航が早くから開始されており、スイスでは山岳救助として1952年から、ドイツではアウトバーンでの死亡事故対策として1970年から開始されています。それぞれその国特有の事情を背景としています。

 

配備方法

 

基本的には、出動要請後15分以内に初期治療が開始できる範囲で機体配備しますので、国土面積に比例して機数は多くなります。

 

ちなみに、日本では現在53機が運航されていますが、日本と国土がほぼ同じドイツでは145機、米国にいたっては約1,200機と桁違いのドクターヘリが運航しています。

 

余談ですが、海外のドクターヘリは、ときどき事故を起こしますが、日本のドクターヘリは死亡事故が1件も起きていません。

 

もちろん、上記の通りドイツや米国は日本とは比べて運航総数が多く歴史も長いことや、夜間飛行も行っていますので単純比較はできませんが、それでも死亡事故が起きていない日本のパフォーマンスは純粋に素晴らしいと思います。

 

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