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バイオ医薬品関連企業の株価動向
1月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。1月の株式市場は異例の展開となりました。バイオ医薬品セクターでは、小型株等の一部の銘柄に、上場投資信託(ETF)がらみの大量の資金が流入し、株価を大きく上昇させました。また、個人投資家がインターネット証券を通じて「共闘」し、ヘッジファンドが売り持ち(ショート・ポジション)を膨らませていた銘柄に大量の買いを仕掛けたことから、個人投資家の標的にされることを回避したいヘッジファンドは、買戻し(解消)やポジションの縮小等、意に沿わない取引を余儀なくされました。この影響はバイオ医薬品セクターにも及び、空売り残(ショート・インタレスト)の大きい銘柄は価格変動が大きくなりました。
政治面では、米ジョージア州の上院選挙決選投票の結果、事前予想に反して、民主党が上・下両院の過半数を確保し、法案可決への道を開きました。もっともヘルスケア改革の実現は想定されず、薬価よりも医療へのアクセスが引き続き議論の焦点になると考えます。
株価の変動が大きかった銘柄としてはモデルナ(米国)が挙げられます。モデルナは新型コロナウイルス・ワクチンへの期待が大きく株価が大きく上昇しました。また新型コロナウイルスのワクチン関連ではノババックス(米国)の株価も大きく上昇しました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染動向とワクチンの動向に注目が集まっています。一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を急ピッチで行っています。良好な治験結果を受けて、一部の国ではワクチンの接種が始まっており、現在は生産能力などのボトルネックに注目が集まっています。
さらに米国では大統領および上下両院を民主党が掌握したことで、今後のヘルスケア政策の動向が注目されます。なお民主党、共和党の超党派で進めているメディケア(高齢者向けの医療保険プログラム)の改革の動きは、医薬品の価格の引き下げにつながる可能性がありますが、一方で量的増加につながることも考えられ、全体的にはポジティブに働くと考えます。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発・認可・接種への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年1月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2021年2月24日)
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