コロナ禍で収入減も、リーマンほどではない!?
このような景況感は、実生活にもどのような影響を及ぼしているのでしょうか。同調査で1年前と比べた「暮らし向き」を尋ねたところ、「ゆとりが出てきた」が4.2%、「ゆとりがなくなったきた」が38.1%。「暮らし向きD.I.(「ゆとりが出てきた」-「ゆとりがなくなったきた」)」の推移を見ていくと、多少の上下はあるものの、この3年間、は常に-30台。人々の意識としては、暮らし向きの悪化はコロナ禍に限らないようです(図表2)。
また実際の収入について尋ねたところ、収入に関しては「増えた」が7.8%、「減った」が41.0%。「現在の収入D.I.」の推移を見ていくと、コロナ禍前は-10~-20台前半で推移していたのが、コロナ禍を期に10ポイント近くも悪化しています(図表3)。
「現在の収入D.I.」のピークは、2018年6月の-17.3、ボトムはリーマンショック後の2009年9月で-57.3。収入に関しても、コロナ禍の状況はリーマンショック時ほどではないようです。
雇用環境については、「不安を感じる」(「少し感じる」含む)が76.6%。「雇用環境D.I.」(「不安をあまり感じない」-「かなり感じる」)は-4.2で改善の方向にあります。リーマンショックや東日本大震災のときは、-20~-30ほどで推移していました。雇用の環境についても、過去の危機ほどではありません(図表4)。
支出はどうでしょうか。1年前に比べて「増えた」が29.0%、「減った」が22.3%。そして「商品やサービスを選ぶ際に重視すること」として、「価格が安いこと」が51.9%、「安全性が高い」が45.1%、「長く使える」が41.6%、「信頼性がある」が38.7%と続きます。
家計でも不透明感が濃厚になっているいま、できるだけ支出は抑えたい、という志向が高まっているようです。一方で、コロナ禍で増えた支出といえば、マスクや消毒液など、衛生用品。感染リスクに敏感になっていることからも、安全性や信頼性を求める傾向が高まっています。
また「娯楽・レジャー」については「減った」が88.5%。さらに今後の予定としても「減らす」が33.0%。一方で「在宅時間を楽しむための支出」は「増えた」が32.0%。今後の予定としても「変えない」が70.6%。外出自粛によって、巣ごもり需要が顕著になっていますが、そのライフスタイルは当分変えないスタンスの人が多いようです。
コロナ感染が完全に収束するのには数年かかるとか、完全に収束することはなく共存するしかない、という専門家の意見もあります。一度、大きく変化した私たちのライフスタイルに、元に戻る、という選択肢はないのかもしれません。
景況感や暮らしについての人々の意識を見ていきましたが、決して良い状況ではないものの、過去のどん底に比べると、それほどでもない、というのが大勢のようです。計画通りにいくかどうか、問題はあるにせよ、ワクチン接種のニュースも頻繁に耳にするなか、事態の好転が期待されます。
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