もし娘が医大を目指すなら…「数学力」アップが不可欠な裏事情

医学部を志望する女子学生が急増した。しかし大学入試では女性受験生への組織的な減点操作が発覚したり、女医の働き方に大きな変化が訪れていたりと、様々な問題が生じている。ましてやコロナ禍の今は勝手が違う。「もし娘が医学部に行きたいと言ったなら…」。元医大講師で受験の裏表を知る筆者が、一筋縄では行かない「女性の医学部受験」を語る。※本記事はフリーランス医師・筒井冨美氏の書下ろしによるものです。

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医学部の偏差値上昇…一因は「優秀な女子高生」の増加

大学入試における医学部人気が熱い。総学費約400万円の国公立医学部は東京大学非医学部の偏差値を凌ぐ。総学費1900~4800万円の私立医大も20年間で偏差値10~25相当の上昇を遂げ、昭和時代に囁かれたような「寄付金詰めばアホでも入れる私立医大」は存在しなくなった。進学高や塾のホームページでは「東大合格者●名」と並んで「医学部●名」と宣伝するのが定番となって久しい。

 

医学部偏差値上昇の一因は、医学部に挑む女子高生の増加である。かつて「女の売れ時はクリスマスケーキ(24までは定価、25で割引、26以降は売れない)」と謳われた昭和時代には、卒業まで6年間が必要な医大など「結婚できなくなる」と囁かれて良家の子女には敬遠されがちだった。よって、昭和時代の女子医学生とは「医師ファミリー」もしくは「生涯独身覚悟のキャリア派」に限定されており、「勉強や仕事には熱心だが女子力は…」タイプが主流だった。

 

時代は平成に替わり、医療界にも「産休/育休」「時短勤務」「ママ女医は当直免除」などの制度が普及してきた。「ミスxx」コンテストに入賞する女医も増え、タレント女医をテレビ等で見かける機会も多くなった。雑誌やWebなどで優雅なライフスタイルをアピールする女医も数え切れない。

 

その結果、昭和時代からのキャリア派女性層に加えて「官僚や総合職や外資金融は激務だが、女医はパート勤務も可能」「医師夫をゲットする近道」と、「家庭と両立できる高ステータス職」として「高学力、かつ女の幸せも欲しい」女性が積極的に医大受験にチャレンジするようになったのである。

 

近年の高校別の医大合格者ランキングには桜陰高校などの女子進学高が複数トップ10入りすることが常態化しており、特に私立医大においては白百合学園や雙葉高校のような昭和時代には「医師夫人の出身校」的だった私立名門女子高出身者が目立つ。一方、東京工業大学など理工系名門校のランキングには、女子進学高はほとんど登場しない。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

入試差別の発覚がもたらした「2025年以降」の変化

2018年、「東京医科大学などにおける女性受験生への組織的な減点操作」が発覚して、医学界を震撼させる大ニュースとなった。多くのメディアで「言語道断の差別」と報じる一方で、「必要悪だった」として「ゆるふわ女医」の存在も報じられるようになった。

 

なお「ゆるふわ女医」とは、「医師免許取得後は医師夫をゲットして、自分は(平日昼間の外来など)ゆるく働き、医師ダブルインカムで都会セレブ生活を満喫する」「当直・救急・手術・地方勤務は一切いたしません!」というタイプの、平成後期に急増した女医群である。

 

東京医大騒動の結果、医大入試における女性率は厳しく監視されることとなり、2019年度入試では医大女性合格者は前年の34.7%から37.2%に急増(※1)した。そして、2025年度以降の女医急増は不可避となった。

 

さらに言うと「女医増加」とは「男性医師減少」でもあり、「婚活ライバルが増えて、ターゲットが減る」ことになる。「女医ならば(美人じゃなくても)医師夫ゲットできる」時代は終わり、個々の女医への育児支援も手薄になることが予想される。

 

「平日昼間ローリスク業務のみ」という働き方は、おそらく2025年以降も可能だが、待遇は下がる一方だろう。2021年現在でも、すでに「時給2000円」案件が某医師アルバイト情報サイトには登場している。

「過半数が女子」の大学も出現か…コロナ禍の医大進学

2020年6月17日、「新型コロナウイルス(以下コロナ)による長期休校」の対策として、文科省は2021年度大学入試において「数学III、物理などで『発展的な学習内容』は出題しない」「理科2科目指定を1科目に減ずる」「指定科目以外の科目への変更を認める」(※2)とサラッと要請したが、この通達は医大入試に更なる激震をもたらす可能性が高い。

 

というのも、医学部は大学入試としては理系かつ最難関とされるが、女性受験生は「生物・英語が得点源」「数学的センスよりも暗記が得意な努力家」的な準理系人材が多い。また、高校生を対象にした国際科学オリンピックでも、女性が生物代表になっても、数学・物理代表は男性のみ(※3)のことが多く、数学トップ層は圧倒的に男性が多いことが推察できる。

 

従来、「附属病院運営のために男子学生を多く採用したい」医大は、入学試験で「数学や物理の配点を高くする」ことが、合法的に女性率を下げることの可能な唯一の方法だった。実際、東大・京大医学部などの難関医大ほど女性率が低く、偏差値低めの地方国立や私立医大ほど高い傾向にある(※4)。しかし、コロナには敵わなかったようだ。

 

よって2021年度入試では、地方医大や新設私立医大においては、すでに医学部の女性率が50%を超えた米国のように、「女子医大生過半数」を覚悟する必要がある。

 

そして、「医師夫ゲット」を最大の目的に女性が医大進学することは、今後はハイリスクローリターンになってゆくことを、認識すべきである。

医学部志望女子が高めるべき「数学力」

娘が「医大に行きたい」と言ったなら、まず確認すべきは数学力である。国公立医大や中堅以上の私立医大は数Ⅲ(微積分など)が必須だし、選択の場合には「数Ⅲ」「物理」選択者の方が「生物」「英語」よりも有利になるケースが多い。

 

一部の私立医大には「数Ⅰ」のみで受験可能なコースもあるが、「親が同窓生」「高額寄付金」のような条件が課されるケースも多い。

 

また、「地方医大の地域枠」でも「数学が易しい」コースがあるが、「地方勤務9~11年間」などの条件が課せられることになる。よって、その後の医師人生の選択肢を増やすためにも「数学力」は大切なのだ。

 

英語や生物など暗記系は、特訓や集中講座などで突破できても、数学は生まれつきセンスに加えて持続的な勉強が重要になる。「東大模試で数学偏差値72」を取るような天賦の才に恵まれた女子高生ならばハードルは低いが、総合順位は高くても「英語76、数学58」タイプは要注意である。一時的には好成績でも、受験レース終盤で灘高や開成高校などの数学ガチ男子勢に追いこされてしまう可能性が高いからである。

 

「医学部合格●人」と宣伝するような大規模塾よりは、値段は張るが少人数塾や専門家庭教師やWeb個別指導などが効率的だろう。まずは出題パターンを総ざらいし、コツコツと穴を埋めて基礎固めする努力が必要になる。とりあえず、「共通テストでは数学満点」を確実に獲れるような、安定的な数学力を第一の目標にしたい。

 

1/27配信の【後編】では、引き続き「女性の医学部受験」をテーマに、女性の医大選びについて解説する。

 

 

【参考】

※1 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48369920Y9A800C1CR8000/

※2 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/mxt_kouhou02-20200619_1.pdf

※3 https://www.milive.jp/live/181003/

※4 https://www.igakubujuken.jp/ranking/gender

 

 

筒井 冨美

フリーランス医師

 

 

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フリーランス医師 

1966年生まれ。フリーランス麻酔科医。地方の非医師家庭(医師ではない一般家庭)に生まれ、某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て 2007 年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、メディアでの執筆活動や、「ドクター X~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)「医師たちの恋愛事情」(フジテレビ系)など医療ドラマの制作協力にも携わる。著書に『フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方』(宝島社)、『女医問題ぶった斬り!』(光文社新書)がある。

著者紹介

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