情報技術と金融を融合したFinTech(フィンテック)によって、資金を持つ人と資金を必要とする企業が直接結びつき、自らの資金の使い方を主体的に選択できるようになる「金融の民主化」が注目されています。この一形態である株式型クラウドファンディングの構築を目指すスリランカの動きをお伝えしている連載の最終回です。

魅力あるビジネスモデルに仕上げるきっかけに

スリランカでの株式型クラウドファンディングのプラットフォームを目指すCrowdislandのウェブサイトで、掲載する企業をフィルタリングすることは、経験の少ない投資家たちが投資先を探すうえで役に立つ。またそれは同時に、スタートアップ企業が自らを売り込む方法を改善するきっかけにもなるだろう。

 

スタートアップ企業が、Crowdisland上に会社情報やプロジェクト情報などを登録し、資金を集める準備が整えば、Crowdislandはスタートアップ企業の情報を確認し、その修正をアドバイスする。このアドバイスにはYork Street Partners社による信用評価なども含まれる。「我々はスタートアップ企業に企業価値を伝えるわけではありません」とCEOのRamanayake氏は誤解がないよう明言した。「ですがCrowdislandを通じて資金を求める企業は、望む資金の分だけ自らをアピールできないといけませんから」

 

さらに同氏は「お金を出してくれる顧客と、有効なモデルを手にする必要がある企業にとって、この仕組みは大勢の投資家にリーチがするうえで有効です。我々の役割は何も試されていないアイデアをサポートすることではありません」と説明し、各スタートアップ企業の努力を促す。

規制緩和を見据え「クラウドファンディング」を掲げる

Crowdislandのアドバイスによって修正がなされると、ウェブ上のプラットフォームに正式に登録され、投資家たちはそれぞれの案件を見ることができるようになる。うまく投資が集まってプロジェクトの目標金額に達した場合、Crowdislandは全投資額の6%をマージンとして受け取ることになる。

 

証券取引委員会の規制によって、Crowdislandでは現在一つのプロジェクトに対し受け入れられる投資家の数に制限が設けられている。そのうえ、最終的な取引はオフラインで面談を行い、書類にサインを交わさなくてはならない。

 

結局のところ、Crowdislandは少人数の人が大きな金額を動かす場、つまりは投資家クラブとして位置付けられるだろう。しかし、Crowdislandは自らを「クラウドファンディング」と名乗ることに固執している。なぜなら、国がスタートアップ企業やオンライン上の取引に開かれた形で法改正した際に、最前線に立っていたいからだ。しかし、Ramanayake氏が明らかにするように、その状況に到達する前に「やるべきことは山積み」なのだ。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年4月に掲載した記事「THIS IS WHY CROWDISLAND CAN’T CROWDFUND」を、翻訳・編集したものです。

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