銀行に預けられたお金を使う(融資する)のは銀行ですが、預金者はその使い方(融資先)を選べず、また成果としての利子は微々たるものです。情報技術と金融を融合したFinTech(フィンテック)によって、資金を持つ人と資金を必要とする企業が直接結びつき、自らの資金の使い方を主体的に選択できるようになる「金融の民主化」が注目されています。この一形態である株式型クラウドファンディングについて、スリランカでの動きを全4回でお伝えします。

非公開株を通じてスタートアップ企業を支援

クラウドファンディングという仕組みは、その単語が誕生する遥か昔から存在した。その名の通り、多数(クラウド)の人が少しずつお金を支援(ファンディング)する仕組みを取っている。このモデルは、アルバムのレコーディングやフリーウェアの開発に必要な資金がないクリエイターたちにより普及した。たとえば支援したいプロジェクトに5ドル支出すれば、無料でサイン入りのアルバムがもらえるような形態だ。

 

今注目されている株式型クラウドファンディングは、上記の一般的なクラウドファンディングとは少し違う形を取る。より複雑で、より多くのお金とリスクを伴う。株式投資の経験が少ない、また、使える資金が潤沢ではない投資家志望にとっての第一歩として、更なる成長を模索するスタートアップ企業を支援するのだ。

 

スリランカにおけるクラウドファンディングのプラットフォームを目指すCrowdislandのCEOであるShehan Ramanayake氏はスリランカについてこう話す。「投資に使えるお金はまずまずありますし、その投資を受けるに値するスタートアップ企業も複数あります。そして、クラウドファンディングのプラットフォームは、デジタル技術を用い投資家と企業家を結び付ける素晴らしいソリューションです」

 

Crowdislandを作ったのはJeevan Gnanam氏とNathan Sivagananathan氏で、いずれもブティック型の金融顧問・投資銀行サービスを提供するYork Street Partners社との協働のもと、スタートアップ企業支援に深く関わっている。彼らが目指したのは、新たな市場を活性化させ、資金力が低い数多くのプレイヤーたちに向けて、門戸を開くことだった。すなわち、金融の民主化だ。

株式型クラウドファンディングの投資家メリットとは?

株式型クラウドファンディングの趣旨は、銀行からの融資や株式公開など昔ながらの方法では資金を確保しづらい企業家たちが、投資家にもメリットがあるような形で、資金調達を可能にすることだ。

 

投資家サイドのメリットには、支援を求めているプロジェクトと簡単につながれるオンライン上の開かれたプラットフォームがあることで、より多くの候補から投資先を選べ、その結果、投資ポートフォリオの多様性を担保しやすくなることが挙げられる。加えて、スタートアップ企業に対する投資というハイリターンが期待できつつ、多数の投資家が集まることでハイリスクが分散させられるというメリットもある。

 

スリランカで株式型クラウドファンディングを可能とするプラットフォームのCrowdislandが、もし計画どおりに進んでいれば、ちょっとした貯蓄がある人は、Crowdisland上に投資家用のアカウントを作成し、100万スリランカ・ルピーほどを投資用に回していただろう。そして、魅力的なプロジェクトが見つかれば、支援したい額をそのアカウントから支払えば、成果に応じたリターンを受け取れるはずだった。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年4月に掲載した記事「THIS IS WHY CROWDISLAND CAN’T CROWDFUND」を、翻訳・編集したものです。

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