税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
バイオ医薬品関連企業の株価動向
10月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。10月のバイオ医薬品セクターは、米大統領選を11月初めに控えて選挙戦の行方が注目を集める中、新型コロナウイルス・ワクチン開発の進捗状況が期待されましたが、十分な症例が集まらなかったとして治験結果の発表はありませんでした。
株価が上昇した銘柄としてはマイオカーディア(米国)、イミュノヴァント(米国)などが挙げられます。マイオカーディアはブリストルマイヤーズ・スクイブ(米国)から総額130億ドルの買収提案を受けました。買収株価は、提案発表前の最終株価を61%上回ります。マイオカーディアは、心臓血管疾患治療薬を開発中で良好な治験結果を発表しています。イミュノヴァントは同社の抗体介在性自己免疫疾患治療薬は最も優れた新薬として評価を得ており、株価が堅調に推移しました。
株価が下落した銘柄としては、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米国)、エクセリクス(米国)などが挙げられます。バーテックス・ファーマシューティカルズは治験中の治療薬開発を中止したことが影響し、株価が大きく下落しました。エクセリクスは、市場の拡大が著しいがん免疫療法の薬剤併用治験で良好な結果を発表していましたが、上昇後の利益確定売りが続いたことから株価は下落しました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を急ピッチで行っています。11月に入り複数のワクチンについて良好な治験結果が発表され、2020年末もしくは2021年初めにも承認される可能性が高まっています。
注目されていた米国の選挙については、民主党のバイデン候補が大統領となり、連邦議会では上院が共和党、下院が民主党のねじれ議会が続く公算が大きくなったことは、最善のシナリオと考えます。バイデン大統領の誕生により、混沌とした状況が改善し、科学や規制当局への信頼性を高め、科学分野への政府支出を増やす可能性があります。一方、ねじれ状態の連邦議会は、超党派の支援がなければ法律を制定することが難しく、法案が急進的なものではなく、より穏健なものになることを意味しています。民主党、共和党の超党派で進めているメディケア(高齢者向けの医療保険プログラム)の改革の動きが、医薬品の価格の引き下げにつながる可能性がありますが、量的増加につながり、全体的にはポジティブに働くと考えます。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年10月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2020年11月25日)
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