2020年10月のバイオ医薬品市場

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

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バイオ医薬品関連企業の株価動向

10月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。10月のバイオ医薬品セクターは、米大統領選を11月初めに控えて選挙戦の行方が注目を集める中、新型コロナウイルス・ワクチン開発の進捗状況が期待されましたが、十分な症例が集まらなかったとして治験結果の発表はありませんでした。

 

株価が上昇した銘柄としてはマイオカーディア(米国)、イミュノヴァント(米国)などが挙げられます。マイオカーディアはブリストルマイヤーズ・スクイブ(米国)から総額130億ドルの買収提案を受けました。買収株価は、提案発表前の最終株価を61%上回ります。マイオカーディアは、心臓血管疾患治療薬を開発中で良好な治験結果を発表しています。イミュノヴァントは同社の抗体介在性自己免疫疾患治療薬は最も優れた新薬として評価を得ており、株価が堅調に推移しました。

 

株価が下落した銘柄としては、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米国)、エクセリクス(米国)などが挙げられます。バーテックス・ファーマシューティカルズは治験中の治療薬開発を中止したことが影響し、株価が大きく下落しました。エクセリクスは、市場の拡大が著しいがん免疫療法の薬剤併用治験で良好な結果を発表していましたが、上昇後の利益確定売りが続いたことから株価は下落しました。

 

※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値  ※PSR:2020年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率  出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]バイオ医薬品株価指数 ※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値
※PSR:2020年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

米ドルベース、月次、期間:2010年10月~2020年10月  出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]ナスダック・バイオテック指数 米ドルベース、月次、期間:2010年10月~2020年10月
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を急ピッチで行っています。11月に入り複数のワクチンについて良好な治験結果が発表され、2020年末もしくは2021年初めにも承認される可能性が高まっています。

 

注目されていた米国の選挙については、民主党のバイデン候補が大統領となり、連邦議会では上院が共和党、下院が民主党のねじれ議会が続く公算が大きくなったことは、最善のシナリオと考えます。バイデン大統領の誕生により、混沌とした状況が改善し、科学や規制当局への信頼性を高め、科学分野への政府支出を増やす可能性があります。一方、ねじれ状態の連邦議会は、超党派の支援がなければ法律を制定することが難しく、法案が急進的なものではなく、より穏健なものになることを意味しています。民主党、共和党の超党派で進めているメディケア(高齢者向けの医療保険プログラム)の改革の動きが、医薬品の価格の引き下げにつながる可能性がありますが、量的増加につながり、全体的にはポジティブに働くと考えます。

 

現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。

 

※学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。 出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表3]今後のバイオ関連学会予定 ※学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

年次、期間:2002年~2020年(2020年は10月末時点)  出所:FDAのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表4]米食品医薬品局(FDA)による新薬承認件数 年次、期間:2002年~2020年(2020年は10月末時点)
出所:FDAのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬  ※ライセンス供与された治療薬も含みます  出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表5]注目のパイプライン ※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬
※ライセンス供与された治療薬も含みます
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。

 

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。

 

米ドルベース、期間:2001年12月~2019年12月 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄 ※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR〔株価売上高倍率〕から算出) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表6]売上高の推移 米ドルベース、期間:2001年12月~2019年12月
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄
※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR〔株価売上高倍率〕から算出)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

時点:2020年11月19日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作
[図表7]今後2年間の売上高伸び率(年率)予想 時点:2020年11月19日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。

 

期間:2006年12月~2019年12月(実績)、2020~22年(予想) ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数 ※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出 ※2020年~2022年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表8]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移 期間:2006年12月~2019年12月(実績)、2020~22年(予想)
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数
※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出
※2020年~2022年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

バリュエーション

足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。

 

米ドルベース、月次、期間:2004年10月~2020年10月 ※PSR:株価売上高倍率。2020年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表9]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移 米ドルベース、月次、期間:2004年10月~2020年10月
※PSR:株価売上高倍率。2020年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年10月のバイオ医薬品市場』を参照)。

 

(2020年11月25日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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