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バイオ医薬品関連企業の株価動向
9月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は小幅に下落しました。
9月のバイオ医薬品セクターは値動きの荒い展開となりました。月初は、他セクター同様、売られる展開となったものの、月後半には下げを取り戻しました。ギリアド・サイエンシズ(米国)によるイミュノメディクス(米国)の買収発表をきっかけに、M&A(合併・買収)観測が再燃し、多くの中小型株が連れ高となって、株価が大きく上昇しました。
株価が上昇した銘柄としてはイミュノメディクス、マイオカーディア(米国)、IGMバイオサイエンシズ(米国)などが挙げられます。イミュノメディクスはギリアド・サイエンシズによる買収発表が寄与しました。買収価格は発表前の株価を108%上回る価格となりました。
株価が下落した銘柄としては、グローバル・ブラッド・セラピューティクス(米国)やアケビア・セラピューティクス(米国)が挙げられます。グローバル・ブラッド・セラピューティクスは、新製品の発売時期が新型コロナウイルスの流行の最中となったことから、目先の処方の動向が懸念されました。ただし中長期的な見通しについては極めて良好だと考えます。一方、アケビア・セラピューティクスは、赤血球生成剤のフェーズ3治験で心臓血管の安全性評価項目が基準に届かなかったことが嫌気されました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大の動向と、秋に実施される米国大統領選挙が株価に影響を与える重要な話題となっています。新型コロナウイルスに関しては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は急ピッチで開発を行っており、比較的短期間に効果のある治療法が発見されるものとみています。この秋の抗体治療の治験結果と、ワクチンのフェーズ3治験の結果発表が待たれる状況です。2020年末もしくは2021年はじめにもワクチン承認の可能性が高まった場合には、どのように配分するのかが新たなトピックとして浮上するでしょう。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。
これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年9月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2020年10月20日)
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