●非製造業もコロナの影響を大きく受けたが、宅配やネット通販、ネット関連サービスの銘柄は好調。
●景気敏感な金融業は総じて低調、非接触・非対面型ビジネス対応の銘柄選好が当面続くとみる。
日経平均を構成する225銘柄のうち非製造業71銘柄と金融業21銘柄のパフォーマンスを検証
2020年10月16日付レポート『日経平均構成銘柄の動きを検証する(製造業編)』(関連記事参照)では、日経平均株価を構成する225銘柄のうち、製造業に分類される133銘柄について、2019年12月30日から2020年10月9日までの騰落率を検証しました。今回のレポートでは、同じく日経平均株価を構成する225銘柄のうち、非製造業に分類される71銘柄と、金融業に分類される21銘柄について、同期間の騰落率を検証します。
非製造業には、東証33業種分類に基づき、水産・農林業、鉱業、建設業、電気・ガス業、陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業、情報・通信業、卸売業、小売業、不動産業、サービス業の13業種を振り分けました。金融業には、銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業の4業種を含めました。それぞれの業種について、業種内で相対的にパフォーマンスの良い銘柄の順にまとめたものが図表1~3です。
非製造業もコロナの影響を大きく受けたが、宅配やネット通販、ネット関連サービスの銘柄は好調
非製造業のうち、水産・農林業、鉱業、建設業、電気・ガス業、海運業、空運業、不動産業の各業種に属する銘柄は、全て株価が下落しました。いずれもコロナ渦の影響が色濃くみられ、給食・外食産業向けの低迷(水産・農林業)、エネルギー需要減少(鉱業)、工事中断(建設業)、電力需要減少(電気・ガス業)、ばら積み船の荷動き鈍化(海運業)、国内外の移動制限(空運業)、商業施設の賃料減免など(不動産業)が、業績の足かせとなりました。
一方、コロナの感染拡大が、業績の追い風となった銘柄を含む業種もみられます。例えば、陸運業では、外出自粛の影響で鉄道の株価は総じて低調ですが、宅配は好調です。また、情報・通信業では、通信事業の伸長と好調なネット通販が、株価の支援材料となっています。さらに、小売業では、外出自粛で百貨店が苦戦するなか、スーパーマーケットの健闘が目立ち、サービス業では、ネット関連サービスの株価は底堅い動きとなっています。
景気敏感な金融業は総じて低調、非接触・非対面型ビジネス対応の銘柄選好が当面続くとみる
金融業は景気敏感な業種であるため、コロナ渦の影響を強く受ける結果となりました。銀行業と保険業に属する銘柄は全て株価が下落し、銀行業は貸倒引当金の増加、保険業はコロナ禍での営業自粛が業績に響きました。また、証券・商品先物取引業について、直近の決算では、大手証券の市場部門が好調で、中小も個人売買が活況となりましたが、株価は総じて低迷が続いています。
このように、非製造業と金融業に関しては、非接触・非対面型のビジネスに対応できる銘柄が、業種を問わず、投資家に選好されやすくなっており、この傾向は今後も続く可能性が高いと思われます。そのため、従来型の接触・対面型のビジネスを主とする銘柄については、しばらく厳しい環境が予想されますが、ネットを活用した新業態の展開など、新しい戦略が示されるか否かが注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均構成銘柄の動きを検証する(非製造業・金融業編)』を参照)。
(2020年10月20日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
シニアストラテジスト