アジア・オセアニアリートは9月は反動安
■アジア・オセアニアのリート市場は、8月の上昇の反動で9月は下落しましたが、10月に入り総じて上昇に転じています。6日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は8月末比+1.6%、香港は同+0.6%、シンガポールは同+0.7%、オーストラリアは同+2.3%となりました。
■オーストラリアは、8月に決算発表等で大幅に上昇したことから利益確定売りが入り9月は下落しましたが、中銀の追加緩和期待への高まりなどから持ち直しました。シンガポールは、徹底した感染対策のもと活動制限が段階的に緩和される状況でしたが、9月月間では小幅に下落しました。一方、香港は、外出規制の一部緩和などが好感され2ヵ月連続の上昇となりました。
緩やかな景気の回復、各国感染状況と政府の対策を織り込む
■アジア・オセアニア地域の新型コロナ感染状況は落ち着いてきており、緩やかながら景気回復が期待される中、リート市場も同様の流れとなっています。物流施設などが底固く推移する一方で、各国の感染状況や政府対応によって商業施設・ホテル等にも回復がみられます。香港では8月の小売売上高が前年比▲13.1%とマイナス幅が縮小傾向ですが、その中でスーパーマーケットは同+10.8%とコロナ禍でも売上増加が続いています。
徹底した感染対策が奏功、シンガポールリート市場は高評価
■アジア・オセアニアのリート市場では、シンガポールが他国に比べ評価されると予想します。シンガポールは政府の徹底した感染対策が国の相対的な評価を高めており、商業施設・ホテルのリートは底堅く推移すると予想されます。9月からは感染リスクの低い国との出入国制限を緩和しました。国として国際会議や見本市といったMICE(法人や団体が開催し多くの集客や交流を生み出すイベント)開催を重要な施策と位置付けているシンガポールにとって、ポジティブな流れが期待できると考えます。
■オーストラリア市場はレンジでの推移を予想します。ビクトリア州での都市封鎖延長などから消費者心理の改善に力強さはありませんが、他の州では感染拡大が回避されており、経済再開の方向性は維持されています。中銀の低金利政策は住宅関連リートの業績回復に繋がり、今後はインフラ投資等の景気刺激策が出てくるとみられます。香港市場は、米中対立の影響や感染動向をみながらのレンジ推移となり上値は重いと予想します。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アジア・オセアニアのリート市場は反動安』を参照)。
(2020年10月9日)
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