高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。本連載では、書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を、医師である梶川博氏・森惟明氏が徹底解説します。
CT検査とMRI(およびMRA)検査の違い
脳の病気を診断する上で欠かすことのできないCTとMRI/MRAですが、その違いをご存じでしょうか?
どちらも似たような装置に見えますが、実は原理が根本的に違います。CTは「X線」を、MRI/MRAは「強力な磁石」を使用しているのです。
それぞれの具体的な特徴は、以下のようなものが挙げられます。
CT(コンピュータ断層撮影【だんそうさつえい】:Computed Tomography)
・放射線被曝がある。
・検査時間が短い(2分程度)。
・予約なしですぐに検査可能。
・急性期出血性病変の診断が容易。
・血管を診断するには造影剤が必要。
・骨が描出できるため骨折の診断ができる。
MRI(磁気共鳴画像(じききょうめいがぞう):Magnetic Resonanse Imaging)、MRA(磁気共鳴血管画像【じききょうめいけっかんがぞう】):MR angiography):MRIを用いて血管像 を描出する方法
・放射線被曝がない。
・検査時間が長い(30分程度)。
・基本的には予約制。
・急性期脳梗塞の評価が正確にできる。
・造影剤を使用することなく、血管を描出できる。
・骨は描出できない。
・ ペースメーカーなどの体内金属がある場合や、閉所恐怖症の方など、検査ができないことがある。
以上のようにそれぞれ一長一短があり、医師は症状、検査目的に合わせて検査を選んでいます。
これは50代後半男性(図2)の症例です。
来院までの経過:左の手や足がしびれて、眼の症状もあった。かげろうが上がるようになり、そうして霧がかかったように見えなくなる。これが来るとしびれたようになる。眼は左から始まって、全体に霞みがかかるような感じがある。目の症状が出ると必ずしびれが出る。最終は来院5日前。以前は眼の症状はなかった。ここ最近は症状が強かったため来院。
既往歴:高血圧(177/104,96)、高コレステロール血症、高尿酸血症、閉塞性動脈硬化症。
左図:MRI拡散強調画像 右後頭葉に高信号域を呈する小さな脳梗塞(皮質枝閉塞)。
右図:MRA右内頸動脈閉塞、右中大脳動脈も写りが悪い。
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
日本脳神経外科学会認定専門医
日本脳卒中学会認定専門医
日本神経学会・日本認知症学会会員
広島県難病指定医、
広島県「もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
日本医師会&広島県医師会
日本医療法人協会&全日本病院協会広島県支部所属。
広島県広島市出身 1957年修道高等学校卒業、1963年京都大学医学部卒。
1964 聖路加国際病院でインタ−ン修了、医師国家試験合格、アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格、1968年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。
1970年広島大学第二外科・脳神経外科(助手)、1975年大阪医科大学第一外科・脳神経外科(講師、助教授)。
1976年ニューヨーク モンテフィオーレ病院神経病理学部門(平野朝雄教授)留学。1980年梶川脳神経外科病院(現医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター)開設。医学博士。1985年槇殿賞(広島医学会会頭表彰)、1996年日本医師会最高優功賞。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法
医学博士
大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインタ−ン修了。
1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。
1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1968年日本脳神経外科学会認定医。1969年京都大学脳神経外科助手。
1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。1975年京都大学脳神経外科講師。1979年京都大学脳神経外科助教授。1981年高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。
1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。1992年第2回高知出版学術賞受賞。
1996〜2000年高知県医師会理事。1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。
2000〜2001国際小児神経外科機関誌「Child's Nervous System」編集委員。2000年高知大学名誉教授。著書多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法