高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。本連載では、書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を、医師である梶川博氏・森惟明氏が徹底解説します。
専門医は脳梗塞をどのように診断するのか?
問診や診察で脳梗塞が疑われるときには、診断を確定するために脳画像診断を行います。脳梗塞の画像診断には、CT、MRIやMRAなどの種々な検査があります。急性期においては、CTでは脳出血を否定できても梗塞の有無ははっきりしないことも多いのです。
これに対してMRI、特に拡散強調画像(diffusion weighted image:DWI)では確実に診断可能ですし、同時に行って血管を診断するMRAは閉塞血管の特定に有用です。
上記は、60代女性の症例です。受診当日の朝は普通でした。踊りの稽古に行く予定だったが、遅いので友人が9時に電話をしたところ、会話は普通でした。稽古場に来たときには会話がかみ合わず、当院を受診。来院時、質問に対して「よく分からない」を繰り返す。歩行はややふらつきがあるが、自立していました。
単純CT:異常なし。頭部MRI:左側頭葉に拡散強調画像(DWI)高信号域を認めた。MRA:左中大脳動脈(M1部)の閉塞があるが、末梢は部分的に描出されていた。発症後4.5時間以内であったのでrt-PA点滴静注を開始した。その後、同部(左M1部)はほぼ正常に開通した。
さらに、これらの検査に脳潅流画像(Perfusion Imaging)を併用することで、梗塞になってしまう脳の範囲を予測することが可能です。太い血管が詰まったと考えられる場合、さらに脳血管撮影が必要になることがあります。
続いては80代女性の症例です。
構音障害、右口角下垂、右上肢脱力で救急搬送。左中大脳動脈閉塞(矢印)と左大脳半球の潅流不良が認められる。左図:MRA、右図:脳潅流画像(MTT/平均通過時間;左大脳(向かって右側)の白く見える部位の血流が遅い。)(カラー表示では赤く見える。)
全身検査として、血液検査で動脈硬化の原因となる高血圧や糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高いこと)はないかを調べた。不整脈はないか、心臓や頸動脈に剥がれて飛んでいくような塞栓源がないかなどを、心臓や頸動脈の超音波(エコー)検査、経食道超音波(エコー)検査、心電図検査などを行って調べます。
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
日本脳神経外科学会認定専門医
日本脳卒中学会認定専門医
日本神経学会・日本認知症学会会員
広島県難病指定医、
広島県「もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
日本医師会&広島県医師会
日本医療法人協会&全日本病院協会広島県支部所属。
広島県広島市出身 1957年修道高等学校卒業、1963年京都大学医学部卒。
1964 聖路加国際病院でインタ−ン修了、医師国家試験合格、アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格、1968年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。
1970年広島大学第二外科・脳神経外科(助手)、1975年大阪医科大学第一外科・脳神経外科(講師、助教授)。
1976年ニューヨーク モンテフィオーレ病院神経病理学部門(平野朝雄教授)留学。1980年梶川脳神経外科病院(現医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター)開設。医学博士。1985年槇殿賞(広島医学会会頭表彰)、1996年日本医師会最高優功賞。
著者プロフィール詳細
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医学博士
大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインタ−ン修了。
1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。
1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1968年日本脳神経外科学会認定医。1969年京都大学脳神経外科助手。
1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。1975年京都大学脳神経外科講師。1979年京都大学脳神経外科助教授。1981年高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。
1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。1992年第2回高知出版学術賞受賞。
1996〜2000年高知県医師会理事。1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。
2000〜2001国際小児神経外科機関誌「Child's Nervous System」編集委員。2000年高知大学名誉教授。著書多数。
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