日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、9月9日「救急の日」にちなんで、救命救急の実態についてみていきます。

救急車は無料…でも費用を請求される場合も

いまのところ救急車は無償で利用できますが、実際はどれくらいのお金がかかっているのでしょうか。救急車の費用は自治体が負担していて、その費用はおよそ4万5,000円。その費用はもともと国民の税金。やはり必要性を見極めていくことが大切です。

 

また救急車で搬送された場合でも、費用を請求されることがあります。

 

たとえば、大病院に搬送され軽症や緊急性がないと判断されれば、大病院が一定のルールのもと各自由に設定する「特定療養費」を請求される可能性があります。大きな病院にはでは紹介状をもっていないと特定療養費が請求がされますが、その仕組みと同じです。高度医療に携わる大病院に軽症者が集中しないように、という処置なので、緊急性の高い場合は請求されませんが、軽症の場合は請求できると判断される場合があります。厳密にいうと、救急搬送に対しの費用ではなく、治療に対しての費用ですが、救急車利用で費用が発生する場合として、覚えておいたほうがいいでしょう。

 

また同様に、ドクターカー内で治療を受けた場合も費用が発生します。一般の救急車は救命救急士が乗っていて、ごく一部を除いて医療行為は行えません。一方、ドクターカーには医師や看護師が乗り、医療行為が行われます。医療行為が行われたら、健康保険適用の料金が発生します。ただしドクターカーで搬送されただけの場合は、費用は発生しません。

右肩上がりで増えていく救急搬送件数に現場は逼迫

昨今、問題視されているのが、救急出動件数の増加です。

 

2018年の救急出動件数は、660万8,341件(消防防災ヘリコプターの件数も含む)。対前年比で26万2,824件増、搬送人員も前年比22万3,949人増となっています。グラフをみても、一時的な凹みはあるものの、毎年増加の一途を辿っていることがわかるでしょう。救急車は、1日平均1万8,096件出動。これは4.8秒に1回、日本のどこかで救急車が出動し、国民の21人に1人が搬送されたことになります。

 

 

出所:消防庁「救急・救助の現況」令和元年版
[図表2]救急出動件数の推移 出所:消防庁「救急・救助の現況」令和元年版
 

 

このような事態に対し、救急の現場は逼迫しています。2008年の現場到着所要時間(入電から現場に到着するまでに要した時間)はは7.7分だったのに対し、2018年は8.7分。対前年比で0.1分の増加でした。また病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は2008年は35分だったのに対し、2018年は39.5 分。対前年比0.2分の増加となっています。

 

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