怖い…住宅ローン破綻寸前で家手放すも「結局自己破産」の苦悩

本記事は、2017年2月13日刊行の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

住宅ローン破綻を防ぐ方法に「任意売却」があるが…

任意売却はオーバーローン状態の人が行うものなので、売却代金を全額債権者に渡しても、必然的に債務が残ります。たとえば「残債3000万円という状態で自宅を任意売却をしたところ、2000万円で売却できたので残債務が1000万円残ってしまった」というようなケースが任意売却の典型例です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

住宅ローンの返済に行き詰まった人が、1000万円の残債をどうやって支払っていけばいいのか──多くの人が不安に思う事柄です。代位弁済後は金利が最低でも14%という高い利率に跳ね上がります。利息だけで年間140万円、月額にして約12万円です。そんな額を支払えるわけがありませんから、結局は自己破産してしまいます。

 

しかしながら、実際には債権者との和解により、「支払える範囲で返済を続ければいい」という合意が得られる場合が多いので、自己破産せずに解決する方法もあります。任意売却前には「一括返済を!」と強硬に迫ってきた債権者が柔軟な対応をしてくれるとは考えにくいところですが、家を処分した前後では「借金の性質」が変わるため、返済に対する姿勢も変化するのです。

 

任意売却前の債権は担保となる物件に抵当権が設定された「正常債権」ですが、任意売却や競売で住まいを処分した後は、担保のない「異常債権」となります。貸付を回収したくても債権者にはそのための手段がないため、債務者主導で交渉を進め、返済額を決めることができるのです。

交渉次第で月々の支払い金額は大幅に変わるが…

交渉に当たって大切なのは、誠意を示しながら返済方法を決めることです。「返済を続けることは可能か」「いくらなら返済できるのか」「返済を続ける意思はあるのか」という実情を正直に伝えて、妥協点を見つけるのが正しい交渉のありかたです。

 

金融機関側も事情を理解しているので、前述のように1000万円の残債があるからといって、「月々12万円の金利プラス元本の返済を」とは求めません。「月々1万円でどうでしょう?」というように、個別に交渉しながら返済額を定めるのが一般的です。

 

したがって残債額が同じでも月々の支払いはまったく異なります。ある人は2万円の支払いを求められ、別の人は5000円で勘弁してもらえるというのが、任意売却後の返済事情となっています。

 

[図表]任意売却前後での借金の違い(※写真はイメージです/PIXTA)

支払えなくなったら「支払わない」選択肢もある

1000万円の残債を月々1万円ずつ返済しても、完済は不可能です。無利息なら83年かければ完済できますが、35歳で返済を始めた場合、完済時には118歳です。無理のない額ではありますが、一生かけて支払うと考えると、恐ろしくなってきます。年金生活に入れば収入はさらに減るでしょうし、病気になれば1万円の負担も賄いきれなくなるかもしれません。

 

将来に対するこういった不安は実はあまり必要ありません。支払えなくなった場合には「支払わない」という選択肢もあるからです。

 

事情が変わり、支払いが難しくなったときには、金融機関に対してその旨を伝えると、「支払い停止」という措置をとってもらうことができます。

 

ただし、支払えないからといって金融機関からの連絡を無視するのはNGです。あくまで誠意のある対応が重要なので、支払えなくなったときにはなるべく早めに連絡し、残債をどうするのかを協議する必要があります。

現在の債権回収会社は健全な企業がほとんど

金融機関との付き合い方についてここまで解説してきましたが、実際には数年で交渉の窓口は変わってしまいます。少額の支払いを毎月管理するのは金融機関側も手間がかかりたいへんです。そこで「不良債権」として別の会社に売却してしまうのが、金融機関の一般的な対応なのです。

 

不良債権を買い取る会社は「サービサー」と呼ばれます。「返済に行き詰まった債権を買い取る」という業務の内容からは一見怪しげに見えるかもしれませんが、実際には法務大臣の認可を受けて債権の回収を行う企業です。もともと債権回収業務は弁護士もしくは弁護士法人のみに認められる特殊な仕事でした。

 

バブル崩壊後、急増した不良債権の処理を弁護士や弁護士法人だけでは賄いきれなくなったため、1999年に「債権管理回収業に関する特別措置法」が施行され、弁護士法の特例としてサービサーの設立が認められたのです。

 

債権回収というと、一昔前は暴力団などの反社会的勢力に類する人が関わっていると考えられていましたが、同法では暴力団等反社会的勢力を排除するための仕組みが盛り込まれています。現在活動しているサービサーは健全な企業ばかりであり、金融機関からサービサーに債権が譲渡されたからといって、債務者が不安に感じるような「強硬な取り立て」などが行われることはありません。

 

返済不能に陥った債権は額面の2%程度で売却されることが多く、1000万円の残債であれば20万円ほどです。それ以上回収できればサービサーは黒字になるので、強硬な取り立てを行う必要がないのです。

 

私もときどき任意売却を完了した依頼者から、数年後に「債権を譲渡したという通知が来ました」という問い合わせを受けることがあります。銀行などの金融機関や保証会社が債権の保有者である場合には安心感がありますが、聞いたこともない社名のサービサーから「債権の譲渡を受けた」という通知が来れば、不安に思うのは当然でしょう。

 

私はそんなときにはいつも「よかったですね」と開口一番お伝えしています。サービサーに債権が移ったということは、回収のモチベーションがより低い会社が窓口になったということです。返済方法についてもより柔軟に対応してくれる可能性が高いので、債務者にとって債権の譲渡はメリットの大きい出来事なのです。

烏丸リアルマネジメント株式会社 代表取締役

1974年生まれ。大阪府出身。
大学を卒業後、大手ゼネコンで技術者として従事。その後、不動産コンサルティング会社に転向し、実績が認められ代表取締役に就任。そこでの経験を生かし、日本で初となる法律業務も扱う任意売却専門会社「烏丸リアルマネジメント」を設立し、現在に至る。金融機関や士業者からの信頼も厚く、任意売却の専門家として各地で講師も務める。多くのローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏だけでなく全国からも相談者が後を絶たない。
任意売却コンサルタント、宅地建物取引士、日本アドラー心理学会会員。

著者紹介

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本連載は、2017年2月13日刊行の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

夢のマイホームを購入する際、多くの人が利用する住宅ローン。ローンを組む際は、通常、専門家のアドバイスを受けながら無理のない返済計画を立てますが、長い返済期間では何が起こるかわかりません。思わぬトラブルによって返…

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