今回は、相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の戸﨑貴之税理士が、「書面添付制度」について解説していきます。

書面添付制度を活用したほうが得する人は?

筆者も書面添付制度を納税者から依頼されることが多いのですが、メリットがあるからすべての方がこの制度を利用したほうがいいというわけではありません。

 

どのような方に書面添付制度の活用をお勧めしているのかというと、ひと言でいうと、税務調査の対象になる確率が高い、以下のような方になります。

 

① トータルの遺産規模が数億円以上と大きい方
② 税務署が確認したくなる贈与や高額な資金移転が多い方

 

最近はインターネットで積極的に情報収集する納税者の方も増え、この制度を活用したいと要望をいただくことが増えました。しかし、申告義務が生じているが納税義務はなく、注意事項もない方は、この制度から得られるメリットは少ないといえます。

書面添付制度がやぶ蛇に?税理士の力量が問われる

筆者の知り合いの税理士の経験談では、相続税専門の税理士ではないため、書面添付の作成に慣れておらず、記載内容が不十分になったり、また逆に税務署側が気にする内容を記載してしまったりして、結果、税務調査を誘発してしまったというケースがあったそうです。

 

余計な論点を書いてしまう場合には、やぶ蛇となってしまうため注意が必要です。

 

 

◆まとめ

書面添付制度は税務調査に対しては非常に有用な制度であるということを説明してきました。

 

筆者も必要性を感じれば相続税のお手伝いをする当初から、注意すべき点が途中から発覚した場合には途中からでも、この制度の活用をお勧めしています。

 

逆に、必要性が感じられない納税者には不要であるとアドバイスしています。

 

書面添付制度は、たくさんの論点を検証する必要があるため、税理士の責任が生じます。また、この制度を活用すれば税務調査は絶対に大丈夫というわけではなく、限界はあります。確認不足や税務判断が間違っていると、不適切な内容の説明書となりますので、作成する税理士の力量が問われるといえるでしょう。

 

適切な内容を反映できると非常に有用な制度でありますが、誤った判断をしてしまうと諸刃の剣となってしまうので注意が必要です。

 

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