「年収500万円の会社員」持つべきは国内資産か、海外資産か?

人生100年時代、資産形成を考えるうえでは、国内資産だけでなく、海外資産も組み入れることが重要です。今回は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社・グローバル資産形成研究所所長の加藤航介氏が、バランスのとれた資産配分の考え方について解説します。

人的資産の判定が、資産配分を考える初めの一歩

私たちは皆、「人的資産」という巨大な資産を持っていて、その額は数千万円から数億円になると試算できます(参照記事:年収500万円から「資産が増える人」「減る人」の決定的な違い)。現役世代の方は将来に稼ぐ給料などが、退職世代の方は生涯受け取れる年金などがその裏付けとなります。

 

一般的には、働く期間が長い若い人ほど人的資産の額は大きくなりますが、先進国で暮らす65歳以上の方などは、年金受給権という、数千万円の大きな資産を持っていることが多いです(日本年金機構から届くハガキや、同WEBページで、皆さんが100歳までに受け取れる年金見込額を確認することができます)。

 

人的資産の大きさは、健康、働く意思、知識・経験、教育、受け取れる年金の種類などによって変わってきます。健康や働く意思は将来の収入額に直結しますし、自己投資(教育)がスキルアップにつながれば、給料が上がり、人的資産は高まることになります※1。また、引退世代の方については、特に健康が人的資産を決める大切な要素となります。


※1:もともと、人的資産の考え方は社会の教育問題を考察する切り口として発展してきました。


人生100年時代の資産形成において重要なのは、人的資産の大きさを理解すること、その中身が「海外資産なのか国内資産なのか」を考えることです。そして、それを把握した上で、保有する金融資産などの資産配分を検討していくことが大切と考えます。

 

今までのマインド・セット:自分の人的資産について、特に意識をしない。

新しいマインド・セット:自分の人的資産の大きさを理解し、さらに、その中身が国内資産なのか海外資産なのかを考える。

 

国内資産と海外資産、どちらを持つべきか…
国内資産と海外資産、どちらを持つべきか…

国内資産と海外資産、どちらを持つべきなのか…

日本に住んでいる方の多くは、日本で生まれて学校に通い、日本で就職して生活をされていると思います。ただし社会人になると、皆さんが勤められている会社は、国内のお客様を相手にしていることも、海外のお客様を相手にしていることもあるでしょう。外資系企業にお勤めの方もいらっしゃるかもしれません。

 

そのようななか、それぞれの方の人的資産は、国内資産なのか、海外資産なのか、どのように判断すべきなのでしょうか?

 

先に答えを申し上げると、多くの方の人的資産は「国内資産」であると考えられます。その理由は、それぞれの方の給料は、どの国の労働市場に属しているかに大きな影響を受けるからです。

 

たとえば、皆さんの毎年の給料の増減は、日本経済全体の好不調や、日本人全体の給料の動きに、多大な影響を受けています。仮に、皆さんや皆さんの会社が外国相手に仕事をしていたとしても、皆さんが転職をするときに日本の転職市場だけで職を探すならば、皆さんの人的資産は「国内資産」と考えられるのです。

 

年金受給者の方においても、給付金額や給付開始時期などに関わる年金制度は、自国の経済動向から大きく影響を受けるので、大枠の考え方は同じです。現在25歳で65歳まで40年間、平均年収500万円で働く予定の人的資産を2億円※2とします。そして、この2億円が「国内資産」であるとすると、その人が保有する500万円の金融資産(余裕資金と仮定)は、国内か海外のどちらの資産に置いておくべきだと思いますか?

 

※2:本来は、現在価値計算のためライプニッツ係数などを考慮する必要がありますが、それらの詳細な計算は割愛します。

大切なのは、「国内と海外の真のバランスをとる」こと

大切なのは、「国内と海外の真のバランスをとる」という視点です。既に人的資産という国内資産を2億円も持っている人が、500万円余裕資金があった場合に、さらに預貯金などの国内資産として置いておく必要はあるのでしょうか?

 

この500万円を全て海外資産(例えば外国株式)に移したとしても、それはその人の総資産の3%弱を占めるに過ぎません。仮に、あなたが資産アドバイザーであったら、どうアドバイスするべきか考えてみて下さい。

 

実際に金融資産を選ぶ時には、このバランスの視点の他に、海外と国内の資産における長期の利回りの見通し(通常は、経済の成長率が高い国の資産の利回りが、より高くなります)や、資金の使い道なども考慮する必要があります。

 

来年に購入を予定している住宅の頭金のための500万円であれば、(為替が大きく動いて、頭金が払えないことが無いよう)自国資産で持っておいた方が安心かもしれません。一方、何十年も先の資金であれば、真のバランスや長期の利回りを考慮して、できるだけ多くを海外資産にしておく方が得策かもしれません。

 

いずれにしても、自分資産といえる人的資産、そしてお金の資産である金融資産をトータルに考え、その国内・海外のバランスを意識することが、皆さんが正しい金融商品の選択をするために大変重要になります。

 

今回は、自身の人的資産が国内か海外かを考えるマインド・セットについて紹介しました。多くの私たちの人的資産は国内資産であるという気づきは、皆さんの資産の「真のバランス」を整えるきっかけになるでしょう。そして、人生100年時代、バランスの良い資産配分で豊かな人生を目指していただきたいと考えています。

 

 

加藤航介

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社

グローバル資産形成研究所所長

 

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 グローバル資産形成研究所 所長

幼少より、両親の影響から「世の中のしくみ」や「日本と世界の違い」について興味を持つ。大手日系資産運用会社にて日本株式アナリストとしてキャリアをスタート、その後、世界株式アナリスト、世界株式ファンドマネージャー、プロダクトマネージャーなどに従事し、資産運用業一筋20年。「投資の本質」を考えながら約10年間をロンドン、ニューヨークで過ごし、米州、欧州、アジアなど世界約30ケ国を訪れての経済・企業調査を実施。グローバル視点での社会のしくみ、世界の人々の多様なライフスタイルや幸せへの価値観について、豊富な知識を持つ。2015年1月、インベスコに入社、2020年2月より現職。米国コロンビア大学MBA(経営学修士)修了。米国公認会計士、ファイナンシャル・プランナー、証券アナリスト試験に合格(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員)。一般社団法人 投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」客員研究員。「実経験が大切、顧客とは同じ船に乗る」との考えから、自らもグローバルな資産運用を行う投資家でもある。

著書に、お金と投資の付き合い方の本「世界を見てきた投資のプロが 新入社員にこっそり教えている 驚くほどシンプルで一生使える 投資の極意」がある。

 グローバル資産研究所ホームページ


http://www.invesco.co.jp/Institute_Global_Investment_Learning/index.html

著者紹介

連載インベスコ・グローバル資産形成研究所レポート「100年時代のお金について考える」

※本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のインベスコ グローバル資産形成研究所レポート「100年時代のお金について考える」Vol.2として公開されたものです。

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