株価は急落前水準をほぼ回復
政策と経済再開を好感
■新型コロナの感染拡大により急落した世界の株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)を中心とした中央銀行の異例の緩和政策や大規模な財政政策を受けて、3月下旬以降回復基調にあります。また、5月以降は、米欧を中心に緩やかながら行動規制の緩和と経済の再開が始まり、経済指標では景気回復を示すものが出ていることも好材料視されています。これらにより、足元の日米欧の株価は急落前(1月31日時点)の水準から9割程度に戻しています。
将来への期待織り込みが進む
バリュエーションは割高水準に
■国際通貨基金(IMF)は今年の世界の経済成長率を▲4.9%と、大恐慌以来の景気悪化となると見込んでいます。一方、来年度は+5.4%成長を予想しています。
■現在の株価の上昇は、積極的な政策対応と今後の景気回復や業績改善への期待を織り込んでいると考えられます。12ヵ月先予想株価収益率(PER)をみると、日米欧ともに割高水準となっており、期待先行での相場上昇を裏付けていると考えられます。
感染拡大で景気回復が遅れるリスクには注意が必要
■実体経済の回復初期における「不況下の株高」は過去に何度も起こった現象です。ただし、今回はコロナの感染状況により回復ペースや水準の不確実性が極めて高いことには注意が必要です。
■一進一退ながらも景気回復や業績改善が進めば、株式市場の現在の水準は妥当と考えることが出来ます。しかし、新型コロナの感染第2波により米欧で大規模なロックダウンが再度実施されるリスクには注意が必要とみられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナショックの不況下での株高』を参照)。
(2020年6月30日)
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