「遺言書には絶対服従」という勘違い
財産が特定できたら、次はいよいよ遺産をどうやって分けるかを決めていきます。遺言書の内容は法定相続分より優先されますから、遺言書があればそのとおりに相続しなければならないと考えられていますが、実は必ずしも100%そうではないことをお伝えしなければなりません。
意外と知られていないのですが、遺言書に書いてある財産を相続する人が法定相続人だけの場合、法定相続人全員の合意があれば、親が書いた遺言と違う分け方で相続することができます。
親が書いた遺言の内容と、みなさんの気持ちが違うこと──たとえば、遺言書には「長男に自宅、二男には預金、三男には株」という遺言があったとしても、みなさんは「長男は預金、二男は株、三男は自宅」が欲しいことってありますよね?
このような場合、みなさんは必ずしも親の遺言にしたがう義務はありません。3人が話し合って合意すれば、自分たちの思いどおりに相続することができるのです。
同じように、遺言書で「兄弟仲良く均等に財産を分けるように」と書かれていたとしても、兄弟間で「長男にすべて相続してほしい」という合意があったら、すべての財産を長男が相続することもできます。自分たちの希望があるなら、相続人間でよく話し合いをするようにしてください。