「相続税なんてお金持ちの話」と油断してはいませんか? 税制改正により大増税時代となった昨今、いわゆる“ふつう”の人も相続税がかかるようになりました。対策を怠っていると、いざ相続が発生したとき、最悪の場合は破産するかもしれません。損しないために、1日でも早く相続対策を始めましょう。※本記事は、税理士法人・社会保険労務士法人タックス・アイズ代表 五十嵐明彦氏の著書『親が元気なうちからはじめる後悔しない相続準備の本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部を抜粋し、親が元気なうちから取り組むべき相続対策を解説します。

一般家庭も相続税を払う時代…都市部住みは要注意!?

2015年の税制改正により相続税の大増税時代がはじまりました。この税制改正でもっともみなさんに影響を及ぼすのが、基礎控除額の引き下げです。

 

相続税の基礎控除とは、財産を相続しても一定金額まで税金がかからないというもので、パートタイマーの方の給与が年間103万円まで所得税がかからないのと同じようなしくみです。基礎控除の額は、以前は次のように計算されてきました。

 

5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 

「法定相続人」というのは、相続ができる人のことで、「民法」で決められています。たとえば、夫婦と子ども2人の家庭でご主人が亡くなった場合の法定相続人は、「奥さん」と「子ども2人」の合計3人で、基礎控除額は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円。

 

つまり、相続する財産は、8,000万円まで相続税がかからなかったというわけです。ところが、2015年からは、計算式が次のように変わりました。

 

3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

先の例でいえば、基礎控除の金額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円に下がったというわけです。これにより、自宅と少しの預貯金で計5,000万円の財産があるような一般家庭でも、特に地価が高い都市部に自宅がある人は、相続税がかかる可能性が高まったといえます。

 

自宅と少しの郵貯金
相続財産が「自宅」と「少しの預貯金」だけでも、相続税がかかる可能性

これからは“ふつう”の人たちにも相続税対策が必要

相続財産が基礎控除の金額の範囲内であれば、相続税の申告はそもそも不要(相続税もかからない)なのですが、相続する財産の金額が基礎控除の金額を超えていても、さまざまな特例(本書『親が元気なうちからはじめる後悔しない相続準備の本』第4章および第5章参照)を使うことで、相続税がかからないケースもあります。

 

ただし、この特例を利用するには、相続税の申告をすることが必要となります。つまり、基礎控除が引き下げられると、これまでは相続財産が基礎控除の範囲内で、申告をする必要がなかった人も、相続税をかからなくするために特例を使わなければならないケースが増え、相続税の申告をしたり税理士に頼んだりという事務手続きをしなければならなくなることが増えるというわけです(都心部では2人に1人が相続税の申告をしなければならないと言われています)。

 

このように、もはや相続税は一部の富裕層に限らず、都心のサラリーマンや地方の方にも十分に関係するものとなりました。つまり、これまで相続税に縁のなかったいわゆる“ふつう”の人たちも、少しでも相続税を減らすために早くから対策をはじめる必要があるというわけです(相続税対策は、早くはじめればはじめるほど、より節税することができる場合があります)。

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