『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、自動車産業や食品メーカーをはじめ、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していく。

解約間際の「水際対策」がここまで効果をもたらした

ほかに解約したい理由として「アプリが使いにくい」という回答も多くありました。動画が止まってしまう、見づらい、使いにくいというのです。アプリを作り直して改善することでこうした不満の声はほぼなくなりました。

 

視聴している端末の側の問題で不具合が発生することもあります。iPhoneやiPadでは、iOSをアップデートすると前のバージョンに対応していたアプリでは見られなくなる場合があります。またアプリが最新バージョンに対応しているけれど、OSを更新していないので見られないといったことも起きます。

 

これらはユーザー側で解決する問題ですが、原因が分からなければ動画を配信している方のせいだと勘違いしてしまいます。これについても最新バージョンにアップデートすることで見られるようになると、チャットボットでも伝えるようにしました。

 

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このように、解約しようとした理由は別々でも、一人ひとりの声を追いかけて問題に対応すると、その積み上げで解約防止数を増やしていくことができます。またサービスを提供している企業も、こういう人がこれだけいるという現実が見えてきます。理想をいえば、こうしたウイークポイントを一つひとつなくしていけば解約する人がいなくなるはずです。

 

チャットボットの導入当初は、解約ページに来た人のうち3~4%程度に考え直してもらえるのではというのがバンダイチャンネルの見方でした。それが導入した月には10.5%が解約をやめて、2カ月目には解約防止率が一気に11.6%まで上がりました。

 

短期間で10%を超えるのは予想外で、その後も9〜10%で解約防止率を継続しています。2020年1月は解約希望者が多く、解約防止率は9.9%となりましたが、解約を防止した人数は増えています。

 

入ってきてはやめていくという繰り返しで会員数は現状維持が長く続いていましたが、チャットボットを入れてからは他の施策の効果と相まって、純増傾向になっています。解約をやめた人のその後の継続率を見ると、95.3%と非常に高い割合です。一度解約防止ができたユーザーは長く使い続けてくれることが期待できます。

 

 

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト