ゼロ金利を22年末まで維持
■米連邦準備制度理事会(FRB)は6月10日、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り、政策金利(フェデラルファンド〔FF〕レート)の誘導目標レンジを0.0~0.25%に据え置き、ゼロ金利政策を維持しました。そのうえで、新型コロナウイルスによる先行きの経済リスクを見据えて、ゼロ金利政策を少なくとも2022年末まで続ける見通しを明らかにしました。
■また、3月に再開した、国債などを買い入れて大量の資金を供給する量的緩和策を維持することも決めました。これまで、購入枠を「必要とされる量」としてきましたが、買い入れる量を月1,200億ドルとし、現状の買い入れペースを少なくとも当面は維持することを明示しました。
高失業率想定、YCCも検討
■半年ぶりに明らかになったFOMC参加者の経済・金利見通しでは、2022年にかけて失業率が高止まりすることや、物価指標が目標である2%に近づいていく足取りが鈍いことが示されました。
■会合後の記者会見でパウエル議長は、イールドカーブに沿って政策金利目標を定める手法(YCC)についても検討していることに言及し、経済危機に対しあらゆる手段を必要な限り講じると強調しました。
超低金利が長期化
■FOMCを受けて、10日の米国債券市場では、10年物国債利回りが前日比0.1%低下(価格は上昇)し、0.73%で終えました。FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)で、2022年までゼロ金利が続くとの予想が示され、債券買いが改めて強まりました。2008年のリーマン・ショック後のゼロ金利は7年間に及びましたが、コロナショックによる今回の景気後退局面においても、ゼロ金利が長期化する可能性を市場は織り込み始めた模様です。
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(2020年6月11日)
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