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相続税の「税務調査」の実態と対処方法
「コロナの影響で賃料払えない」オーストラリアの事情
「海外の物件で減額請求を受けたらどうする?」シリーズ。今回はオーストラリア編になります。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が全世界で猛威をふるう昨今ですが、オーストラリアは、初動の早さや厳しい外出規制が功を奏し、現時点では被害を比較的軽く抑えることに成功しています。
とはいえ、「資源価格の下落」「国際観光のストップ」「中国との外交関係の悪化」など、さまざまな要因が絡み合い、経済的に大きな影響を受けていることも事実です。たくさんの人が職を失い、あるいは一時帰休させられ、家賃の支払いに支障が出ています。
同国最大の都市シドニーでは、3月20日からロックダウンが始まりました。外出禁止令によって人々が不自由な暮らしを強いられていたなか、4月9日、筆者の友人より相談がありました。保有している都心コンドミニアムの管理会社から「向こう3ヵ月間家賃を20%だけ減額してほしい、と入居者がリクエストしている」との連絡を受けたといいます。
結構良い家賃で賃貸しているとはいえ、オーナーにはローンの支払いも残っています。そこで、筆者が入れ知恵するかたちで管理会社を巻き込み、いくつかの選択肢を検討してみました。
① 家賃補償保険に加入する
② 入居者と条件交渉する(減額縮小 or 減額期間縮小 or 減額でなく猶予にする)
結論からいうと、①はダメでした。問い合わせた保険会社からの回答は、「20%減額した家賃をベースに計算し、それ以上の減額が発生すれば補償する」という内容だったので、オーナーは受け入れられませんでした。
②も検討しましたが、管理会社より、「入居者が失職証明書を出してくるので、20%減額は受け入れたほうが賢明です。その代わり、4ヵ月目には本来の家賃に戻しますから」という提案があったため、オーナーはその条件を呑みました。結果、入居者と合意書を結び、5月から20%減額した家賃を振り込んでもらっています。
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「オーナー天国」のオーストラリア賃貸市場に変化が…
同国北部のクイーンズランド州では、新型コロナ影響下にあった4月下旬、おそらくオーストラリアで最も賃借人寄りな法案(Renter Protection Package)が審議されていました。その内容は、「オーナー天国」と呼ばれる同国の文化慣習からすると、驚くような内容でした。
たとえば、「賃借人が半永久的に家賃減額を請求できる権利」「賃貸契約の内容に関わらず、賃借人が1週間の事前通告で一方的に解約・退去できる権利」等々…。
しかし、そこは家主の権利の強いオーストラリア。不動産業界と組んで、「家賃減額請求の根拠となる条件(失職証明書等)を定め、減額の下限(25%等)や拒否権を設ける条項」「賃借人が一方的に解約・退去できる条項の削除」などを求めて機動力のある動きを展開、結局、同法案の成立を阻止しました※1。
5月に入り、オーストラリア各州は経済再開に向けて動き出していますが、賃貸市場における新型コロナの影響は、エリアによって差があります。シドニー、メルボルンをはじめとした大都市の都心部では、空室率が3倍になったエリアも出ており、家賃減額請求が当分続きそうです※2。逆に、近郊の住宅地に行くと賃貸市場も底堅い印象です。
鈴木 学
株式会社国際不動産エージェント
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