新型コロナ感染拡大の影響はいつまで続くのでしょうか。海外の一部都市では段階的な規制緩和が見られるものの、日本を含めた多くの国では、いまだ予断を許さない状況が続いています。本記事では、国内外の不動産や海外進出のコンサルティング事業を手掛ける株式会社国際不動産エージェントの取締役・鈴木学氏が、新型コロナによって不動産市場がどのような影響を受けているのか、わかりやすく解説していきます。

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コロナ感染拡大でも不動産賃貸経営者は恵まれている?

新型コロナ感染拡大の影響により、いまだ世界中の国で都市封鎖(ロックダウン)や外出規制が実施され、経済が事実上休止しています。

 

真っ先に影響を受けたのが、観光業、航空業、飲食店、イベントなど「人が動くことを前提としている産業」です。ロックダウンや自粛が長期化するほど、経済的な深刻化し、会社の倒産が相次ぎ、多くの人の職が脅かされます。

 

日本の賃貸経営の現場でも「コロナ滞納」「コロナ退去」などの言葉が生まれていますが、海外でも基本的に状況は同じです。多くの家主がすでに、家賃減額や不払いの憂き目に遭っています。

 

たとえば、アメリカのいくつかの州では「家賃ストライキ」が発生していたり、ドイツでは家賃滞納を理由にする退去を禁止し、入居者寄りの法案を通過したりしています。これらの背景には、「入居者が職を失ったら家賃も払えない」という厳しい現実があります。

 

実際のところ、売上70~80%減が当たり前な産業も多いなか、「不動産賃貸経営者は相対的に恵まれている」と考えられ、救済が後回しにされることも多いです。

 

筆者自身も、日本人オーナーが所有する海外の不動産物件で、「入居者から家賃減額請求を受けて困っている」という相談を受けています。件数的に一番多い国は、今のところ「マレーシア」ですね。一つ典型的な例を挙げます。

 

「コロナ滞納」「コロナ退去」実際のところは?
「コロナ滞納」「コロナ退去」実際のところは?

契約価格からの半額(50%減額)を要求された…

【今年3月に起こった事案】

 

●マレーシアの首都クアラルンプールで、エアビー運営会社に貸していたコンドミニアムが、新型コロナ感染拡大の影響で海外からの訪問客がゼロになってしまった。家賃を払えないので、まず契約価格からの20%減額を請求された。オーナーは仕方なくそれを呑んだ。

 

●約1ヵ月後、20%減でも資金繰りが厳しいため、契約価格からの半額(50%減額)を要求された。それを呑んでしまうと、マレーシアで組んでいるローンの支払いにも足りなくなってしまい、筆者に相談が来た。


筆者はさっそく、マレーシア現地のエージェント仲間に問い合わせ、次の回答を得ました。

 

●クアラルンプール都心部のコンドミニアム賃貸市場は、コロナ禍で観光客は来ないわ、海外駐在員は帰国するわで、惨憺たる状況。仮にいまの入居者を追い出したところで、次の入居者を見つける自信はない。

 

●その代わり、マレーシア中央銀行が、すべての住宅ローンの借主に対する救済策として、6ヵ月の返済延期(6-months loan moratorium)を打ち出してるので、それにチャレンジしてみるといい。外国人に適用されるかどうかはわからないけど…。


そこで筆者は日本人オーナーに連絡し、英文のメール文例もお出ししながら、いま融資してもらってる銀行に返済延期措置ができるかどうか、問い合わせることをオススメしました。

 

約1ヵ月後の4月下旬、そのオーナーから「4月分より、ローンの引き落としがなくなっていた」と嬉しい知らせが入りました。これでキャッシュアウトは当面ないですね(もっとも、ローン完済期日もまるまる6ヵ月延びるわけですが…)。


日本でもコロナ感染拡大の影響で経営が苦しくなった事業者や賃貸経営者向けに、持続化給付金や緊急融資など、さまざまな救済策が実施されていますが、それは海外でも基本的には同じことです。不動産のある国で、オーナー救済策や、家賃保証保険などがないか、ウェブサイト等で調べてみることをオススメします。難しければ、日本人オーナーの権益保護のため日々頑張っている筆者に、お問合せくださいね。

 

最後に「マレーシアのローン返済延期策の説明」が詳しく書かれたサイトを貼っておきます。英文ですが…。
 

【マレーシアのローン返済延期策の説明】
https://www.thestar.com.my/news/nation/2020/04/30/banks-to-explain-six-month-loan-moratorium-to-hire-purchase-customers
 

 

鈴木 学

株式会社国際不動産エージェント

 

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