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バイオ医薬品関連企業の株価動向
4月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。4月の株式市場は、3月とは対照的に大きく上昇しました。主要株価指数は、3月の下げを相殺しました。バイオ医薬品セクターのリターンが米国株式市場全体を上回ったのは、新型コロナウイルス危機に医学的な解決策をもたらす可能性があるとの期待が再び膨らんだことや、相対的にディフェンシブな特性により収益への影響が限定的であるとの見方が強まったためです。セクター内でも、市場全体と同じく、中・小型株が大型株を大きく上回りました。1-3月期決算はこれまでのところ半数程度が発表されていますが、ヘルスケア・セクターの決算は全体的には売上、利益ともに事前予想を上回っています。
ほとんどの銘柄の株価が上昇する中で、株価が大きく上昇した銘柄では、エクセリクシス(米国)、インサイト(米国)、グローバル・ブラッド・セラピューティクス(米国)、アクサム・セラピューティクス(米国)などが挙げられます。
エクセリクシスは、期待の高かった腎細胞がん治療薬候補の予想以上に良好な治験結果を発表し、大型新薬となる可能性が高まりました。インサイトは、ディフェンシブ性の高いがん領域に強みを持つこと、胆管癌治療薬ペミガチニブの米国食品医薬品局(FDA)からの承認を予定より早い時期に受けたこと、JAK阻害剤ルキソリチニブが新型コロナウイルスの重症患者を対象とした治療薬としてのフェーズ3治験が開始されたこと等が好感されました。グローバル・ブラッド・セラピューティクスは、競合するノバルティスが発売した鎌状赤血球症治療薬の好調な販売状況を受けて同社に対する期待が高まり、株価を押し上げました。アクサム・セラピューティクスは、アルツハイマー病患者不穏症状の治療薬候補について良好な治験結果を発表しました。中枢神経障害治療薬特化の小規模企業である同社にとって、売り上げが10億ドルを超える大型薬となる可能性も期待されます。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大と秋に実施される米国大統領選挙が株価に影響を与える重要な話題となっています。新型コロナウイルスに関しては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は急ピッチで開発を行っており、比較的短期間に効果のある治療法が発見されるものとみています。一方、ワクチンの開発は他のコロナウイルスについても完成しておらず、開発までには時間がかかるものと考えますが、複数の企業が開発を進めています。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。
これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています(図表9参照)。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年4月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2020年5月20日)
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