多くの利害関係者による主張を取り入れられて、複雑に絡み合ったものになりやすいのがエネルギー関連の税制です。今回はそんなエネルギー税制がスリランカで問題視されていることをお伝えします。 ※本連載では、内戦の終結以降、高い経済成長を誇ってきたスリランカですが、歪な経済構造を背景にして、昨今、表面化してきた様々な問題について見ていきます。

所得再分配機能が弱いエネルギー税制

燃料価格は慎重に設定する必要がある。ただ公式的に算出するのではなく、非介入的な原価加算方式で設定すべきだろう。スリランカの税収が十分に得られていない主な理由として、国営企業が税や配当金を払っていないことに加えて、エネルギー税が富裕層に十分に課税されていないことがあげられる。大口の個人消費者でもある富裕層が支払う電気代は高額ではあるものの、それは税金としては表われず、さまざまな補助金として浪費されてしまっている。

 

スリランカの新しい政権はケロシン価格を急速に引き下げた。ケロシンは主にジェット燃料として用いられ、ガソリンやディーゼルよりも輸入価格は高い。前マヒンダ・ラージャパクサ政権の間には、ケロシン価格は上昇していた。この理由として、元財務長官のジャヤスンデラ氏は、最大の消費者が大規模産業だったからだと説明をする。

 

ケロシン価格を新政権が引き下げたのは、単に愚かな行動に走ってしまったためと考えられる。しかし穿った見方をすれば、自身の立場を変えて現政権の大物議員に取り入っている前政権支持者に対して、報いるためだとも考えられる。

求められる燃料価格の改定

税収を増やすため、エネルギー税においては、まず発がん性物質であるディーゼルをガソリンよりも高い価格にすることが求められる。そして、ケロシンに対しては15%ないし20%の付加価値税を加えた、最も高い価格を設定する必要がある。

 

公道を走らない農機具に用いる農業用ディーゼルは、公道を走る車両用のディーゼルよりも安価に設定している国もあるが、この手法はスリランカではおそらく実用的ではない。また、農業用ディーゼルへの課税は、農業に与えた補助金の一部を税金の形で回収するには良い方法でもある。

 

次回は、燃料価格と並んで財政再建のカギとなる、付加価値税の見通しと改善策についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「THE ECONOMY IN 2016: LIMPING TO STABILITY FROM A RUNAWAY BUDGET」を、翻訳・編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録