「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー
●金価格は、今後数ヵ月、投資需要に大きく左右される公算が大きいと考えます。投資需要以外の需要が低迷する可能性があるからです。
●米国の実質金利は投資需要を左右する主な要因ですが、向こう1年については、低下しにくいと考えます。名目金利が極めて低水準にあることに加え、グローバル経済の減速と原油価格急落がインフレ期待の上昇を妨げる可能性があるからです。
●米国株式市場の一段の下落がドル高の再燃や含み益の乗ったポジションの換金売りをもたらす状況では、短期的に金価格を下押す可能性も考えられます。
●中・長期的には、幾分のドル安や世界的な低金利の長期化が巨額の政府債務と相俟って、金価格の上昇が見込まれます。今後3年で、2011年につけた最高値を上抜ける局面もあり得ると考えます。
金需要の最後の頼りは投資需要
金需要には主に①宝飾需要(総需要のほぼ50%)、②投資需要(同25%)、③公的需要(同15%)、④工業用需要(同10%)の4つが挙げられますが、向こう数ヵ月については、投資需要以外の大幅な増加は見込めそうにありません。
宝飾需要は、個人の実質所得に対する「金の取得能力」に最も敏感です。世界の宝飾需要全体の半分強を中国とインドが占めることから、両国の経済見通しが金価格の鍵となります。足元の状況はプラスの季節要因に欠けるだけでなく、金価格の高止まりや、中国とインドの国民所得に影響する世界経済減速により、向こう数ヵ月の宝飾需要の低迷が示唆されます。
公的需要即ち中央銀行による金の購入についても、向こう数ヵ月は減少が予想されます。過去2年間は、中国、ロシア、トルコ等、新興国の中央銀行による大量の金購入を受け、公的需要は過去最高水準を更新していましたが、新型コロナウイルスの発生により購入継続の意欲が削がれたように見受けられます。各行は、自国の金融市場に流動性を注入し、自国通貨にかかる不要な下押し圧力を回避する必要に迫られています。こうした状況は、4月1日にロシア中銀が発表した金の購入を停止した理由の一つと考えられます。
金の工業用需要が限定的であることは、金の総需要が景気低迷の影響を大きく受けないことを意味し、景気変動に左右され難いという金のディフェンシブな特性を説明します。影響は軽微ですが、工業用需要も、向こう数ヵ月、幾分かの減少が予想されます。
となると、残るのは投資需要だけということになります。投資需要は、総需要の僅か25%程度を占めるに過ぎないものの、金価格の変動次第で増減する宝飾需要とは対照的に、通常、金価格を左右する鍵と見なされます。もっとも、単独で金価格を押し上げるには、投資需要の原動力が力強いものでなくてはなりません。
米国の実質金利が金の投資需要を左右する鍵であるのは、それが、金価格にとっての重要な要因である名目金利と期待インフレ率で構成されるからです。同じく米国実質金利の影響を受ける米ドルも重要な要因です。名目金利、実質金利とも低位にありながら安全資産としての強い需要がドル高をもたらす場合を除いて、低位の実質金利は、米ドルの下押し圧力となり金価格を支えます。
米国実質金利の低下余地は限定的
過去の統計分析から確認されるのは、金価格と米国実質金利の強い逆相関関係です。こうした関係は過去1年間、維持されています(図表1参照)。
ピクテの基本シナリオは、米国実質金利の低下余地は限定的で、実質金利が金価格を下支える可能性は低いことを示唆しているというものです。これは、名目金利が既に極めて低水準にあり、景気後退(リセッション)入りの可能性と原油価格の急落を勘案すると、今後数ヵ月は、期待インフレも低位に留まることが予想されるからです。
ウイルス危機後の世界経済の回復は穏やかなものに留まると見ています。これは、(資金需要が供給を上回る)金融逼迫が米ドルを下支える状況が続き、金需要を限定することを意味します。同様に、米国株式市場が再度下落に転じた場合には、換金のため、含み益のある資産が投げ売りに晒される可能性もあり、金の上昇に寄与する可能性は低いと思われます(先物市場の非民間部門のネットの買いポジションが示唆する)。金に強気の投資家心理からも、向こう数ヵ月は金の投資需要が強まる公算は小さいと考えます。
供給減の恩恵も限定的
金生産(金の採掘)も、金需要と同様、新型コロナウイルス発生の影響を被っています。金生産は、金の年間供給総量の70%程度に相当しますが、ウイルスに起因する健康上の制約を受け、減少する公算が大きいと思われます。金の年間生産量は地上の備蓄総量のごく僅かに過ぎないことが示すように、金は消費されず主に退蔵されることから、供給は価格を左右する主な要因ではありません(図表2参照)。とはいえ、供給の減少は、向こう数ヵ月の価格を幾分か下支えると考えます。
底値買い戦略を選好
ここまでの説明の通り、米国実質金利は、金価格が短期間で1トロイオンス当たり1,700ドルを上回る可能性を示唆しているわけではありませんが、金融逼迫が収束し、米ドルが減価すれば、中期的に金価格の追い風になるはずだと考えます(図表3)。更に、実体経済を支えるための政府債務の大幅な拡大は、金融政策の正常化を(2008年の)グローバル金融危機後の時期以上に困難なものにすると考えます。金利がゼロ近辺に張り付く状況の長期化や高水準の政府債務を勘案すると、金現物の魅力は、その他の主な安全資産以上に増す公算が大きいと思われます。端的に言えば、財政拡大および金融緩和に関連して起こり得る金融危機のヘッジとしての金需要は、一段の増加が予想されますが、残念ながらこの種の需要は、世界の金融制度に対する投資家の疑念に依存するものであるため、評価が極めて困難です。
投資家が、異常な財政・金融刺激策の長期的な影響を懸念し続けるとしたら、金の投資需要は高止まりし、価格を下支えると考えます。こうした場合には、今後3年のうちに、2011年の高値(1トロイオンス当たり1,895ドル※)を上抜ける可能性があるかもしれませんが、米国のインフレ率の急騰あるいは米ドルの大幅減価がない限り、それ以上の上昇は難しいと思われます。
目先は、金に幾分慎重な姿勢を維持したいと考えます。米国実質金利の大幅な低下余地が限られ、世界的にリスク選好が低いことから、ドル高の継続が示唆されるためです。従って、金価格は直近の高値(4月23日の1トロイオンス当たり1,736ドル※)近辺に留まっていても、1,560ドル~1,600ドルに向けた短期的な調整の可能性があると考えます。とはいえ、金の上昇トレンドの終わりが始まったとは考えられません。
※ ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金市場の先行きは米国の実質金利次第』を参照)。
(2020年5月7日)
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