新型コロナでBDCは急落
年初来4割下落
■BDC(Business Development Companies)とは、新産業や有望な中小企業等の事業開発を金銭面及び経営面からサポートする会社で、その多くが米国の証券取引所に上場しています。BDCの配当利回りが相対的に高いことや米国の経済成長期待から、注目されている資産の一つです。
■新型コロナウイルス感染拡大により、NYダウが年初来で17.6%下げるなど、世界の株式市場は大幅に下落しています(4月23日時点)。こうした中、BDCの代表的な指数であるウェルスファーゴBDC指数は年初来41.3%減と更に下げが大きくなっています。これは、BDCが融資している先の中小企業が今後経営困難に陥るリスクが高いと投資家が懸念しているためです。
米政府、FRBの迅速な対応でBDCは底入れ
■新型コロナの感染拡大に伴う経済活動の停滞に向けた緊急経済対策として、米国政府および米連邦準備制度理事会(FRB)は3月、中小企業の破綻リスクを軽減するための大規模な支援策を打ち出しました。さらに、FRBは4月9日、民間銀行による中小企業向け融資の実質的な肩代わりを行う融資プログラム等を導入しました。これらの支援策により、信用リスクが大きく後退したことから、BDCも3月下旬以降底入れし、反発しています。
新型コロナの不透明感が続くものの、BDCは割安水準
■米国では新型コロナの感染拡大が依然として続いており、ロックダウン(都市封鎖)に伴う経済活動の停滞が長期化する可能性もあることから、今後BDCの不良債権がどれくらい増加するかは不透明です。このためBDC相場は上値の重い展開が見込まれます。一方、BDCの株価が大きく下落したことで、バリュエーションは大幅な割安を示しています。足元でウェルスファーゴBDC指数の株価純資産倍率(PBR)は0.57倍に低下、配当利回りは16.8%まで上昇しています。PBRはBDCの中小企業向け融資が40%程度棄損することを織り込んでいるといえ、リーマンショック時の不良債権比率が9%程度であったことや、米国政府とFRBの政策が大規模で迅速であることを踏まえると、売られすぎの水準と思われます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナの影響で大幅に下落したBDC』を参照)。
(2020年4月27日)
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