大幅減産も原油価格は下落
■北米の代表的な原油価格であるWTIは、3月、新型コロナによる需要減少に加え、協調減産協議が決裂したため急落しました。一旦は「大幅減産合意へ」との報道から、28米ドル台まで上昇しましたが、再度下落に転じています。
■4月12日には石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが、5~6月に日量970万バレルの減産を行うと発表しました。減産量は過去に例のない規模ですが、依然として供給過剰を解消することは難しいとの見方が多く、17日のWTIは18米ドル台まで下落しました。なお、20日は清算日前日というテクニカルな要因もあり、5月物は史上初のマイナス価格となりましたが、期先の6月物は20米ドル台で推移しています。
2020年の原油需要見通しは大幅下方修正
■16日に公表されたOPEC月報の4月号では、2020年の世界の原油需要予想は日量9,282万バレルと、前月見通しから691万バレルもの大幅下方修正となりました。
■2020年の原油需要を前年比でみると、OPECは日量685万バレルの減少と予想しているのに対し、国際エネルギー機関(IEA)は同930万バレルの減少と見ています。特に、4~6月はOPECの同1,186万バレルに対して、IEAは同2,310万バレルの需要減少と見ており、ギャップが大きくなっています。
原油価格は火種を残したまま、新型コロナ収束を待つ
■今回、原油生産の1割という歴史的な減産発表にも拘らず、原油価格は下落しました。新型コロナ感染拡大による需要減少が減産量を上回り続ければ、産油国は追加の減産を迫られると見られます。一方、今後、新型コロナ収束による経済活動の正常化が見通せれば、原油価格は上昇に転じる可能性がありますが、協調減産に明確なコミットをしていない米国がシェアを伸ばすという火種も残ります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『協調減産復帰も原油価格は下落続く(2020年4月)』を参照)。
(2020年4月21日)
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