コロナ危機でスペイン不動産投資はどうなる?現地弁護士が報告

2020年に入り、新型コロナウイルスの影響が全世界に広がり続けています。なかでも深刻な打撃を受けたスペイン。現在の国内状況や不動産投資における今後の見通しはどうなっているのでしょうか? 現地の弁護士がレポートします。

新型コロナウイルスのスペイン不動産市場への影響

スペインは3月13日より外出禁止令が出ていますが、4月13日より新築建築業者などが仕事に戻り、不動産開発も再開され、規制が徐々に緩和されてきました。

 

スペインの不動産市場がこれらの前例のない事態にどのように反応するかを予測することは困難です。ただ大手不動産サイトの調査によると、外出禁止時期に毎日家にいるため、この機会に自分の人生計画・新しい貯蓄・投資計画を始めている人が多く、インターネットで投資や自宅用の物件探しをしている時間が以前より多いという結果が出ています。

 

家族と過ごす時間が増え、インターネットのおかげで家にいてもビデオ会議やメールなどで仕事ができるということがこの機会にわかり、改めて時間を過ごす「家」について考えているのではないかと予測されています。 

 

下のグラフはコロナによる外出禁止前の2月3日を100とし、家の中で不動産売買ウェブサイトにアクセスした数の推移です。同じ時期に外出禁止令が出されたイタリア、フランスに比べて、スペインでのアクセスが一番多くなっています(図1、Knight Frankより引用)。

 

[図1]コロナ禍の不動産売買ウェブサイトのアクセス数
[図1]コロナ禍の不動産売買ウェブサイトのアクセス数

 

リーマン・ショック後の不動産価格市場との違い

スペインの不動産協会(API)の会長は「2020年は一時的に不動産住宅価格は下がるが、バルセロナやマドリッドのような都市の需要は依然として高いこと、またワクチンが開発され市場に出回れば回復すると期待されているため、2008年のリーマン・ショック後のような下落はないであろう。また2021年、2022年にはU字型の不動産価格の回復になるのではないか」と予測しています。

 

そんな価格が少し下がる時だからこそ、不動産を持つ良い機会です。不動産所有者のなかでは区画住宅物件(スペイン語でピソ)を持っていて良かったと安心している方がいます。それは家賃は大幅に下がることもなく、なによりも不動産は資産として残るからです。


バルセロナ、マドリッドなどの大都市では賃料の需要が好況・不況に関係なくほぼ一定です。そもそも2016年からの過去4年間は家賃が上がりすぎました。しかし不動産価格は緩やかに上がっているため、スペインでは過去4年間で平均年間4万件の住宅取引が行われ、他のヨーロッパのパリ、ローマ、ロンドンなどの大都市利回りも高いのが特徴です(図2、図3)。

 

スペインの不動産平均m2単価の推移
[図2]スペインの不動産平均m2単価の推移

 

[図3]2020年1月のヨーロッパの大都市の平均家賃と平均m2単価のランキング
[図3]2020年1月のヨーロッパの大都市の平均家賃と平均m2単価のランキング

 

スペイン住宅用不動産価格の一時的な割引がスタート

過去4年間で住宅用不動産価格は上昇しており、2000万円前後で販売されている物件が2019年はバルセロナ市内、バレンシア市内にはありませんでした。しかしこのコロナ危機により、ある住宅所有者は大きな市場の暴落を恐れて、すでに住宅の価格を下げ始めています。

 

一番割引率が多いのは中古住宅であり、3月13日から31日の間に半額になった住宅物件もあるといいます。 スペイン国内外の投資家から既に問い合わせがあり、内覧ができない今、販売価格と情報だけで買い物件を予約する投資家も出てきています。 予約はオンラインで可能。銀行、弁護士、ノタリーも業務をしており、販売は継続中です。

 

バルセロナ市内での最大の割引はSant Gervasi-Galvany地区の住宅物件で、42%の割引。非常事態以前は499,000ユーロでの販売でしたが、4月2日以降は290,000ユーロで販売中です。また非常事態が解除されるとセールも終わるという販売期限付きですが、この非常事態中に20%の頭金を支払うという条件付きで、40%割引で販売している所有者もいます。

 

緊急性と販売の必要性が高まるほど、所有者は喜んで値下げすることになります。特に所有者が高齢者の場合、不動産業のアドバイスではなく、このコロナ危機で売却できない恐れもあり、20%の大々的な割引をしています。一方、売買を多くしている投資家にとっては、コロナ危機は不動産の市場価値の大幅な低下を引き起こし、良い投資物件を見つける機会になっているといいます。 

 

2026年に完成予定ということもあり、特にスペイン国内外の投資家が狙っているのはバルセロナではEixample地区、サグラダ・ファミリアの周辺です。詳しくは次回お伝えします。

 

不動産業者連合会(FAI)のジェネラルコーディネーター、ホセ・マリア・アルファロは、今までの過去5年間が売り手側が強かったのに対し、今年は買い手側が強くなるといいます。特に緊急事態が解除された最初の数週間で顕著に現れてくるのではと話します。

 

また、スペイン住宅REITを扱うアメリカの大手投資会社は2020年第2四半期は困難になりますが、不動産セクターの状況が第4四半期に不動産取引は再開し、2021年の初めに通常に戻ると予測しています。

 

2020年は不動産価格が一時的に下がることを期待し、現金を用意し新たに不動産投資を始めるというチャンスの時期、と考える投資家が勝者になるかもしれません。日本円はユーロに対して強くなっており、チャンスがきた時の投資に備える機会といえます。

 

 

セルジ・グラウ
BBS弁護士事務所

BBS弁護士事務所 弁護士

1998年にポンペウ・ファブラ大学(スペイン・バルセロナ市)法学部を卒業。2001年に法学大学院を卒業。BBS弁護士事務所に所属。専門は移民法と刑事法。2004年から2008年、バルセロナ弁護士会の顧問メンバー。2007年から2010年までペルー領事館の移民法専門弁護士として活躍。同じ弁護士事務所には不動産弁護士も所属。現在ペルー商工会議所の顧問弁護士も務める。多くの日系企業のお客様、日本人の学生、研究者のお客様の各種ビザ、不動産投資ビザの申請業務、また不動産投資アドバイス、商業、住宅物件も含めた不動産売買の手続きも手がける。
提携先WEBサイト:http://www.takumispain.com/

著者紹介

連載現地の弁護士が分析!スペイン不動産投資のいま

  • 【第1回】 コロナ危機でスペイン不動産投資はどうなる?現地弁護士が報告

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