過去最大の下げ幅となったNY株式市場
大幅な金融緩和決定下での大幅下落
■昨日の米国株式市場は大幅に反落し、ダウ工業株30種平均指数は前日比2,997.1米ドル安(▲12.93%)の20,188.52米ドルで引けました。下げ幅は過去最大で、2月12日の高値(29,551.42米ドル)からは約32%の下落となっています。
■昨日の大幅下落は、現地時間日曜日の夕方に米連邦準備制度理事会(FRB)が1%の利下げと量的緩和の再開等の大幅な金融緩和を決定していただけに、金融緩和ではコロナウイルスの感染拡大懸念からくる株式市場の下落を止めることができないことを印象付ける動きとなっています。
金融市場はまだ政策を好感できない
直接感染拡大を阻止できないが、政策対応は重要
■金融緩和は米国だけでなく、日本、ユーロ圏、イギリス、カナダ、中国、韓国等、多くの主要国・地域で行われています。加えて、各国・地域は財政政策の積極的な活用を発表しています。これらは今後経済活動が落ち込むのをある程度防ぐ効果があると考えられます。それでも金融市場が安定に向かわないのは、これらの政策が新型コロナウイルスの感染抑制に伴う経済活動の落ち込みを、完全には埋め合わせることができない、と受け止められているためです。確かに、感染拡大が続いている間は政策の効果を感じることは困難ですが、各種政策を行わないよりも状況の悪化を食い止めることができますので、政策対応は必要であり、重要であると考えられます。
金融市場は現状の厳しさを改めて認識:
金融・財政政策の根本は景気への悪影響の食い止め
■昨日、中国から1-2月の主要経済指標が発表されました。固定資産投資が前年同期比▲24.5%、小売売上高が同▲20.5%と極めて弱い数字でした。これまではコロナウイルスの感染拡大を防ぐための対策(隔離や人々の集会・移動の制限)が経済にどの程度の影響を及ぼすかが不透明でしたが、実際の影響が確認できる数字が明らかになったという点で、意義があります。感染抑制策が経済に及ぼす影響について1つの目安になり、政策対応の今後の目途を見積もる上での不透明感がやや後退したと考えられるためです。
■今後も各国・地域が、感染抑制策と金融・財政政策の活用を継続する中、感染拡大の収束にはしばらく時間を要すると見られます。しかし、経済データが下振れても、政策規模の目途がある程度予測可能となれば、政策に対する信認もある程度は高まると期待されます。
■金融・財政政策による対応の根本は、新型コロナウイルスの景気への悪影響をどこまで止められるか、です。下記に示したように、金融政策面では中央銀行による企業金融の補完に加え、財政面では各国・地域がどの程度、短期的な需要の落ち込みに対して時間を置かずにカバーする政策を打ち出せるか、にかかっています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『各国・地域の対策でも止まれない株式市場の下落』を参照)。
(2020年3月17日)
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