パンデミックで金融市場混乱
原油急落も加わり市場は弱気相場へ
■足元のメキシコペソは対ドル、対円ともに最安値を更新しました。前年末から2月中旬までは対米ドルでほぼ横ばいで推移していましたが、下旬以降大幅に下落し、3月16日現在、対米ドル、対円で前年末から各々▲17.3%、▲19.2%の下落率となっています。
■新型コロナウイルスが米欧にも拡大し、パンデミック(感染症の世界的な大流行)となったことや、石油輸出国機構(OPEC)とロシアの減産協議決裂で原油価格が急落したことなど、不安材料が相次ぎました。
■金融市場はセリング・クライマックス的なリスク回避の動きとなり、株式市場はベアマーケット(弱気相場)入りしました。先週の主要株価指数は高値からの下落率が2割を超え、資源国通貨や新興国通貨も売られています。
外貨準備高・対外債務などで脆弱な通貨は更なる下落も
■新興国では民間・政府部門ともに資本不足で海外依存度が高く、経常収支・財政収支の赤字を抱える傾向があります。その中で金融市場にショックが生じた際、対外債務の金額が大きい、外貨準備高が小さい国の通貨が売られやすくなります。
当面のペソは軟調予想も回復の反発力が期待される
■新型コロナウイルスがいつピークアウトするかは予測しづらく、金融市場はしばらくの間、感染拡大と景気減速、各国の経済・金融対策を織り込みながらの不安定な状況が続くとみられます。そのような環境のもとでは資金が安全資産へ向かい、新興国通貨は売られやすい展開が予想されます。
■一方で、米国で感染拡大にピークアウトの兆しがみられれば、リスク回避的な動きは急速に後退し、米国を最大の輸出相手国とするメキシコの通貨を押し上げる材料になると思われます。また、メキシコは経常収支の赤字、対外債務残高の伸びともに低下基調にあり、経済状況が他の新興国に比べ安定していることから、新興国通貨の中でペソの反発力が強まることが期待されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナウイルスによるリスク回避でメキシコペソも下落』を参照)。
(2020年3月17日)
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