主要指標は過去最低
新型コロナウイルスの影響を反映
■中国国家統計局は16日、1~2月の主要経済指標を発表しました。新型コロナウイルスの影響を本格的に反映した主要経済指標は今回が初めてで、いずれの指標も市場予想を大きく下回るマイナスとなり、統計を遡れる過去最低でした。
■1~2月の固定資産投資は前年同期比▲24.5%と、2019年通年の同+5.4%から急落し、市場予想の同▲2.0%を大きく下回りました。固定資産投資の内訳をみると、約6割を占める民間投資が同▲26.4%と落ち込みました。
小売売上高が大幅マイナス
鉱工業生産も大幅マイナス
■1~2月の小売売上高は前年同月比▲20.5%と、市場予想の同▲4.0%を大幅に下回り、昨年12月の同+8.0%から失速しました。新型コロナウイルスの感染拡大で小売店、飲食店が休業を余儀なくされたことなどが響きました。
■1~2月の鉱工業生産も工場の操業停止などから、前年同月比▲13.5%と、市場予想の同▲3.0%を下回り、昨年12月の同+6.9%から失速しました。
中国政府は更なる景気対策を発動
■1~2月の主要経済指標の大幅な下振れが示す通り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、人の移動や工場の操業などが止まったため、1-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)はマイナスに転じる見込みです。ただし、国家統計局は声明で、新型コロナウイルスの影響を相殺し、経済・社会の正常な秩序を回復するためマクロ政策措置を強化すると表明しました。中国政府は2020年までの10年間で実質GDP倍増の目標達成にこだわっているとみられ、可能な限りの景気対策を発動すると考えられます。中国本土では、新型コロナウイルスの新たな感染者が全体として減少するなか、年後半の成長率が高まる可能性があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国の主要指標は大幅マイナス』を参照)。
(2020年3月17日)
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