「法律で解決できること=人生においてハッピーエンドか」
必ずしも、そう言い切れないのが世の常です。権利を獲得し、お金で解決することができたとしても、それが結果、長い目で見たときに良かったかどうか…。
渦中にいると、じつは見えにくいものです。水谷弁護士がクライアントから相談を受けている際、よくある法律相談の中から、「法律外」の話を取り上げます。
法律には書かれない“実際”のところ…「面会について」
■相談内容
離婚した夫が「子どもに会いたい」と言ってきます。私の気持ちはできるだけ会わせたくないのですが…、どう思いますか?
■水谷弁護士の考え
子どもに全く無関心な男性もいる中で、「子どもに会いたい」と言ってくれているなら(虐待などの疑いがない限り)素直に会わせてあげたら?と、私は思います。
これは「離婚しても、両方が親だから」と言った理念にもとづいた考えではなく、単に子どもの将来の可能性を考えた時に「出資してくれる人がもう1人いたほうが心強い」と考えるからです。
この先、子どもを私立に行かせたい、留学させたいなど進路のことや、旅行や日々の習い事まで…自分だけですべてを背負うのは大変ですが、2人いると可能性は広がります。
しかし、これまで一切会わせていなかったのに「突然、私立に行かせたいので…」とお願いしても、相手からしてみると「そんな急に言われても、都合が良すぎないか?」と思われても仕方ありませんよね。
「子どもが取られてしまうのでは?」と不安に思うが…
実際「子どもを別れた夫に会わせたくない」という人も多いです。その理由の多くは嫌がらせなどではなく、本人の心情的な部分でが多いと思われます。「子どもが取られてしまうのでは?」と不安に思ってしまうようです。
しかし、私も子どもが2人いますが、夫とは籍を入れていませんので、気持ちはよくわかります。相手の方へ行かれている間は、確かに悶々とはしてしまいますが、娘は普通に笑顔で帰ってきますし「お父さんと暮らしたい」と、言い出すこともありません。娘のほうがよくわかっているので、両方に良い顔をして普通に帰ってきています。
一方で「父親ばかり良いとこばかり持っていってずるい」「楽な部分だけ持って行くのが許せない」と思う人もいるかもしれませんが、そこは疑問に思います。そんなに対等じゃなきゃいけないでしょうか?
向こうは向こうなりに大変なこと、辛いこと、さみしいこともたくさんあると思います。そんな自分の損得勘定よりも、大切なのは子どもの将来です。子どもと父親がつながってさえいれば、子どもが何かしたい!となったときの可能性はぐんと広がると思いますよ。
水谷 江利
世田谷用賀法律事務所 弁護士